権現岳・赤岳 27155m / 2899.2m  05.07.29-30


1日目
天女山P(5:40)−権現岳(9:50)−キレット小屋(11:30)(幕営)周辺散策

2日目
キレット小屋(4:30)−赤岳(6:40/7:25発)−真教寺尾根−牛首山(9:50)−羽衣の池(11:15)−
八ヶ岳横断自然歩道−天女山P(12:55)
1日目

念願だったキレット越え。東京からだとアプローチが良いので逆に計画立ても後送りにしていた。 また、マイカー派としては戻りが公共交通機関になるだろうと思い、その計画を立てるのが面倒だったことも後送りの理由。

しかしそれは見事に解決した。八ヶ岳の登山地図とにらめっこしていたら、天女山からの馬蹄型をとれるコースがあることに気付き、よし!、と計画を立て出かけた。

天女山駐車場 天女山の駐車場。※収容約20台 マイクロバスも2,3台可

先客が4,5台。登る準備をしている登山者が2グループほど。冬期以外でここから登るのは初めてだが、朝方は満車になるようなところではない。
※冬期は下のゲートが閉まっている

長いコースなのでつらいかなと思ったが、そんな心配はこの花達のおかげでいつの間にか忘れていた。 花の時期には初めて登ったのだが標高を上げるごとに色とりどりの花が代わる代わる微笑んでくれている。

靫草 下野草 釣鐘人参 日光黄菅 峰薄雪草
ウツボグサ シモツケソウ ツリガネニンジン ニッコウキスゲ ミネウスユキソウ

山蛍袋 山苧環 松虫草 飯子菜 鋸草
ヤマホタルブクロ ヤマオダマキ マツムシソウ ママコナ ノコギリソウ

伊吹麝香草 高嶺撫子 小葉の一薬草 小葉の小米草 信濃弟切
イブキジャコウソウ タカネナデソコ コバノイチヤクソウ コバノコゴメグサ シナノオトギリ
葉ふちに黒点並ぶ

高嶺郡内風露 岨菜 金鈴花 手形千鳥 芹葉塩竈
タカネグンナイフウロ ソバナ キンレイカ テガタチドリ セリバシオガマ

高嶺棕櫚草 高嶺ビランジ 零余子虎の尾 木曽千鳥 千島桔梗
タカネシュロソウ タカネビランジ
八ヶ岳で!?
ムカゴトラノオ キソチドリ チシマギキョウ

花も多いがアブや蜂も多くて悩まされた。周りを飛びまわることが頻繁にあり刺激しないように静かに進んだ。

前三ッ頭までは雲も無く爽やかな良い天気だったが、進行方向の三ッ頭上部には雲がかかりはじめている。

ここで最初の休憩をとっていると、なんと岩場の砂礫にタカネビランジらしきものを発見。「えー!」と思ったがよくよく見てもそれらしき。 オオビランジとも思いなおそうとしてみたが・・・どうなんでしょうかね?お向かいの南ア鳳凰山から種子が飛んできたのだろうか?
前三ッ頭

峰薄雪草 ここはまだ頭上に青空が広がっている。おにぎりを食べているそばでは薄雪草が風に揺れていた。

三ッ頭まで上がると間近に大きく見えるはずの権現岳は完全に雲の中だった。 右から赤−中−阿弥陀と権現が並ぶ壮観な風景が楽しみな場所なのでちょっとがっかり。

設営までは降らないことを願って足早に進む。

三ッ頭 権現岳山頂 権現小屋とギボシ
三ッ頭から権現岳を見る 権現岳山頂 権現小屋とギボシ

権現からキレットへ向かう。下りのクサリ場を過ぎて進むと、話には聞いていた長い鉄梯子があった。

三ッ頭 鉄梯子 確かに長い梯子だし足掛け部分も細いのだが、垂直でもないし混みあう様な場所でもないのでゆっくり昇り降りすれば問題は無い。

ちなみに人との対比はこんな感じ。
鉄バシゴの上から旭岳を見る 鉄バシゴの下から見上げる

山母子 高嶺苦菜 梅尅 蝦夷塩竈 車百合
ヤマハハコ タカネニガナ バイケイソウ エゾシオガマ クルマユリ

クルマユリまで出てきた。2500mを超える尾根が続くので咲いているのも納得だが本当に花の種類が多い。 行き交う登山者もなく登山道を進む自分の山靴の音しか聞こえない。

そんないい気持ちでツルネにさしかかった。思わず「わぁっ!」と声が出た。 咲いているかもと聞いていたが、これほどのコマクサが群生しているとは圧巻であり驚きだ。 コマクサが咲くところをあまり歩いていなかったせいもあり、高山植物の女王とのこの対面はとてもうれしかった。

駒草の群生
駒草の群生。ツルネにて。やや見頃から過ぎ始めています。

こちらから見ると「これが赤岳?」と思えるほど荒々しい姿を見せている。

やがてキレット小屋も見えてくると天候も回復してきた。これはビールがうまくなったぞ。
赤岳とキレット小屋

キレット小屋は見るからに古くて、八ヶ岳の小屋というよりかはどこか奥秩父のような雰囲気だが、風情は悪くない。 荷物を降ろして体を軽くしたら天場代とビール代を一緒に払う。泡を立ててカップに注いだビールを一気に飲み干す。この為に山を登っている気がしてならない。

一番乗りで良さそうな場所を選ぶ。天場周辺にもコマクサが咲き危なく踏みそうになる。 小テントが5,6張りの小さな天場だ。展望は赤岳方向だけだが目の前に天狗尾根が大きく見え迫力がある。

キレット小屋 水場 天場
キレット小屋 水場は3,4分ほど下る
岩を伝う水を集めている。細い。
天場
目の前には大天狗。

小屋の周辺ではコマクサの白花を1株だけみつけることができた。

深山万年草 深山耳菜草 駒草 駒草(白花)  
ミヤママンネングサ ミヤマミミナグサ コマクサ コマクサ(白花)

スコッチとビールを持って散策に出かけた。小屋から赤岳方向に5分ばかり登ると森林限界になり、赤い岩屑のピークで腰を降ろす。 今日のつまみはこの岩壁にしよう。こんなところでやる酒はうまくないはずがない。

赤岳へ続く赤い登山道は中央を真上に上がって岩の間に抜けている。険しさが見た目で伝わってくる。 明日は明るくなってから登ることにするか。登山道拡大画像

お楽しみの時間 小屋横のコマクサ花畑
お楽しみの時間 小屋横のコマクサ花畑

小屋脇の見事な駒草のお花畑のことを小屋番さんに聞いてみたところ、やはり自生物ではなく昔増やしたものだそうだ。但し最近はまったく手を入れていないが毎年一面に咲くらしい。

夕食は短期天泊時の定番でレトルトカレー。残り半分のアルファ米は朝用で、これまた定番のお茶漬けにする。

炊飯山行もたまにはやらねばと思うが、アルファ米信者になって久しいので炊き方を忘れている。
夕飯

赤岳 夕方になって赤岳上空に青空が広がった。左端のピークが赤岳だ。

夕日が沈む側の雲が多くて染まることはなかったが今日一番の光景だった。



2日目

翌朝は4:30に天場を出た。小屋からしばらく上がると登山道脇にテントが1張。天場代節約?せこいなぁと思ったが、ここからは赤岳が壁のように立ちはだかって見え、張りたくなる気持ちも分かる。

まだ薄暗い登山道のそこここには、朝の冷たい風にコマクサの花が揺れている。

急登にさしかかる頃、背後の権現岳が朝日に染まって明るくなった。
朝焼けの権現岳

足元もはっきり見え出してあの登りにとりかかったが予想通り険しい。赤岩の斜面は一度転げ落ちると遥か下まで滑落してしまうだろう。大型ザックではバランスを崩してしまいがちなので慎重に登った。

急登1 急登2
急登1。下を見る。 急登2。急登を1/3程度登ったところ。

急登3 急登4
急登3。通ってきた道を見る。 急登4。急登が終わって下を見下ろす。

急登が終わってほっとする間もなく鉄橋子やクサリが目に入る。短いものばかりだがヤセ尾根に付いているので落ちたら終わりだ。 登山地図では実線のコースだが、道の不明瞭な箇所や危険度でいえばかなり点線に近い方だろうと感じる。個人的には下りでは使いたくないコースだ。

登山道 登山道
梯子を越えるとクサリのトラバースが続く。 トラバースが終わると小・大天狗より高いところに出る。下方の大天狗まで道が繋がっているようだ。

夜明け 東側の奥秩父の向こう側は雲が多いが美しい朝の色合いになっている。雲間から射し込む光が神々しい。

こんな高所な岩場にも少ない砂礫地を見つけて花達がしがみ付くように咲いている。

深山爪草 色丹草 深山男蓬 花達 深山大文字草
ミヤマツメクサ
透明な筋が目立つ
シコタンソウ
赤と黄のドット
ミヤマオトコヨモギ 高山の花達 ミヤマダイモンジソウ

竜頭峰 権現岳
中央のピークが竜頭峰。赤岳山頂は裏側になる。 振り返って権現岳を眺める。

今までの行程に比べたらゆるやかなに感じる道が竜頭峰へ続いている。いつの間にか阿弥陀岳と同じ高さまで来ていた。 真教寺尾根への分岐を過ぎて竜頭峰のピークを回り込むと赤岳の頂と対面する。

赤岳山頂 山頂にて私 頂上小屋から山頂を見る
赤岳山頂。右には頂上小屋。 山頂にて私 頂上小屋から山頂を見る

久しぶりの赤岳は”三度目の正直”のことわざ通り、初めて晴れ間が廻ってきた。時折り速い流れのガスに包まれることはあったが申し分無い青空だ。 遠くを眺めてもどこを見ても雲が多い。赤岳の上だけが晴れているように思える。竜頭峰までは誰とも会わなかったが、さすがに赤岳周辺は登山者が多く、この天気を分かち合っていることがうれしかった。

横岳 横岳・硫黄は絶えずガスに巻かれている。

大同心が見え隠れし高山ならではの展望を楽しみながら、小屋前の板間(荷揚げ場?)で早い昼食にした。

ブロッケン 真教寺尾根の牛首山
夏の高山の定番 真教寺尾根が牛首山へ続いている(左)

途中ブロッケンにも遭遇し真教寺尾根への分岐に戻ってきた。危険マークもある長い下りに取り掛かるので気を入れ直す。 少しガレた場所を下っていくといきなり長いクサリ場に出た。

クサリ場 花
上から見下ろした最初のクサリ場 竜頭峰を見上げる

このコースは高度を垂直に下げていく様に長く険しいクサリ場が続く。2本降りたらもう竜頭峰を見上げるような位置まで下がっていた。

ここで早くも休憩を取る。もうすぐ樹林帯に入るのでこの高山の雰囲気を名残惜しむように、小さい箱庭のようなお花畑でしばらく憩った。

高山の小さい箱庭 天狗尾根
高山の小さい箱庭 天狗尾根。大小天狗

天狗尾根の大小天狗も昨日とは逆に見えている。真教寺尾根の岩場のクサリ場は合計4,5箇所あった。木々の間に見える赤岳も遥か高くそびえていてよく下ってきたもんだと驚く。

ここで初めて赤岳へ向かう登山者とすれ違った。キレット越えと同様に静かなコースだ。展望に別れを告げて扇山・牛首山と進む。陽射しが強かったので樹林帯の涼しさが気持ち良かった。

賽ノ河原には家族連れが上がってきていた。すでに雲がかかってしまったが、好天ならば下のリフト終点から、ハイキング気分でもっと人が登ってくるのだろう。

観光客で賑わうリフト降り場の脇の道を羽衣池へ下る。草ぼうぼうであまり使われていないらしく、道が合っているのか不安になったが、ポイントごとに道標があって助かった。

牛首山 賽の河原 防火帯の道
牛首山 賽の河原 防火帯の道

羽衣池は湿地といった風の小さな池だ。木道が周囲を囲み花が多い。「羽衣池から天女山へ向かうってのも風流なもんだな。」と思いながら八ヶ岳横断自然歩道を歩く。

開けた牧場から見える赤岳は早くも雲が沸き立ち、どこからか雷鳴が聞こえている。下りでかなり足が疲れていたし、暑さでだるくなっていたので、降られてもいいかとぶらぶら歩いた。

羽衣池 牧場 天女山の駐車場
羽衣池 八ヶ岳横断自然歩道の牧場 天女山の駐車場

天女山の駐車場は半分以上埋まっていた。大きなスペースにテントとシュラフを広げる。アスファルトの駐車場だと、こうやって干して帰ることが多い。30分程でカラカラに乾く。

花の種類も多かったし駒草の見所もあって思っていたより花旅な山になったが、いつも眺めていただけのキレットを歩くことができて、とにかく満足な2日間だった。

最後に牛首山から天女山までの花を。

九蓋草 信濃金梅 白山風露 小葉擬宝珠 黄釣船
クガイソウ シナノキンバイ ハクサンフウロ コバギボウシ キツリフネ


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