麦草岳・木曽駒ヶ岳・木曽前岳 2733m , 2956.3m , 2826m
 上松Bコースから上松Aコースへ
07.10.13
晴れ

上松Bコース登山口(木曽駒荘前)    05:35
奇美世ノ滝               06:35
麦草岳                 08:30/45
 −牙岩→玉ノ窪小屋へトラバース道−
木曽駒ヶ岳               10:10/35
木曽前岳                11:10
敬神ノ滝山荘              14:00
上松Aコース登山口(アルプス山荘近く) 14:40
車道を歩いていたら知り合いに見つかる  15:12
 −車で連れ去られる−
上松Bコース登山口(木曽駒荘前)    15:14

週末は木曽にてキノコな催し。「ヤマケイJOY.」誌上で発信の「山小屋再生プロジェクト」のメンバーである 酒飲み友達の木曽駒さんに 「きのこ狩りの会」(後の宴会)に誘ってもらい、おなじみの木曽駒荘へ出かけることになった。

木曽駒荘は何度か行っているけれど、せっかく遠出するのだから山も登りたい。木曽駒荘から近い麦草岳(といっても登りのCTが5時間ほど)は前年に登っていたので、 さてどうしたものかと考えるうちに、木曽駒ヶ岳へ続いている、上松からのA・Bコースを繋げるというのが、魅力的な山行に思えてきた。

CTは14時間を超えるが、麦草岳向こうの牙岩越えの点線区間だけを慎重に歩き、そこ以外を飛ばせばなんとかなりそうだ。よし、決めた。

御嶽山が目覚める 御嶽山が目覚める

上松Bコース登山口は木曽駒荘前から始まる。少し先の空き地に車を止めて、木曽駒荘に戻って歩き始めた。 奇美世ノ滝までCT2:10の林道歩きになるが、早歩きすれば時間をかなり短縮できる。

黙々と歩いていたら、いつの間にか日が昇ったようで、背後の御嶽山が神々しい姿を見せていた。


奇美世滝

CTを1時間短縮して到着。周辺は紅葉にはまだ早いようで、緑の中に流れ落ちる滝が見えていた。
奇美世滝

ここからは急登を行く本格的な登山道になる。林道歩きでウォーミングアップが十分にできていたので、五合目の岩門まで一気に登った。 岩門は御嶽山の見晴しが素晴らしいところ。でも今日の御嶽山は、上空を覆った雲に押さえられて、息苦しそうに見えていた。

五合目 岩門 岩門からの展望 登山道
五合目 岩門 岩門からの展望 登山道

登山道は明瞭だ。あまり登られなくなった道だが、木曽駒JOY.の方々が毎年登山道の整備に入っているとのことで、 麦草岳までは迷うようなことは無い。

人と会うことがまず無いコースなので(いつも早出な自分の山行スタイルのせいかな?)、静かな山行が好みな者には嬉しい道だが、 その代わりに熊が多い地域なので熊鈴は必須です。

カニコウモリの果穂が揺れる道 穂高 見晴台から 
カニコウモリの果穂が揺れる道 穂高 見晴台から 

稜線に出ると気持ちのいい風が吹いている。 去年の11月は凍える風にさらされながら、雪が詰まった岩場を登っていたので、穏やかな大気であることが新鮮な風景だった。 岩場を越えるとハイマツの緑色の絨毯の中に、一筋の窪んだ道が上へ続いていた。 ここも去年は雪原だったなあ、その時は踏み抜きで遅々として前へ進まず、かなり時間がかかっことを思い出した。

稜線に出ると岩場 岩場を越えるとハイマツ帯 麦草岳山頂
稜線に出ると岩場 岩場を越えるとハイマツ帯 麦草岳山頂

麦草岳へは木曽駒荘から3時間で到着した。今日は調子がいいぞ、予定通り木曽駒ヶ岳まで行こう。


木曽駒ヶ岳、木曽前岳
麦草岳より

木曽前岳までは切り立った稜線が続き、その奥にそびえるのが木曽駒ヶ岳。

うん、やっぱり駒ヶ岳は木曽側から見るのがかっこいい。 雪の姿もいいが、秋真っ盛りの絵も日本の山らしい素敵な色彩だ。
木曽駒ヶ岳、木曽前岳

麦草岳を越えると途端に踏み跡が薄くなる。下草が枯れている時期なので、注意して道を見つけながら歩けば判るのだが、草が生い茂っている時期はあやしいものだ。

道は一旦鞍部へ降りた後、稜線直下の北東側の斜面に沿って続いていた。

こんな草付きの斜面を降りて 稜線沿いを注意して歩き 往時の道を探しながら行く
こんな草付きの斜面を降りて 稜線沿いを注意して歩き 往時の道を探しながら行く

やがて前方に岩が折り重なり、クサリが付いた岩場が出てきた。でも、その近くまで行ってみると、クサリは錆がびっしり付着し、 かなり古いもので細く頼りないものだった。へたに重量を加えると切れてしまいそうだ。 難しい岩場じゃなかったので、クサリを使わずに通過した。

岩場クサリが2,3本かかっています クサリの根元は金属の肉が擦り減っていて今にも切れそう 手がかりはありますが浮石に注意
岩場
クサリが2,3本かかっています
クサリの根元は金属の肉が擦り減っていて今にも切れそう 手がかりはありますが浮石に注意


黄葉と木曽駒ヶ岳

日が差すと眩しく輝く。
黄葉と木曽駒ヶ岳

牙岩 木曽前岳 牙岩より
牙岩
梯子は古いものなので慎重に。
木曽前岳 牙岩より
直下は切り立った稜線が続いている。

牙岩越えの後、振り返って見る。
牙岩越えの後、振り返って見る。

実際歩いてみた感想としては、それほど危険な箇所は無かった。 点線コースの意味は、歩く人の少なさと、けもの道程度の細い不明瞭な道だというところだろう。 道が細いので、冠雪・残雪の頃はやめたほうがいい。草付きで足を滑らしたら止まらない。

牙岩を越えると前岳直登コースと玉ノ窪山荘へのトラバース道の分岐を示す道標有り。前岳は帰りに通るので山荘方向へ進んだ。

朝から誰にも会っておらず、自分の足音しか聞こえない山の中を、気持ち良くすたすた歩いていたら、 突然「ドドドッ」と地響きと共に、黒い影が数m脇の斜面上方で止まった。


心臓が止まりそうになるぐらい驚いたその正体は、2頭のカモシカ。 4つの目がこちらを睨んでピクリとも動かないでいる。

そろーりと通り過ぎようとすると、また激しい音を立てて斜面の下へ走り去っていった。 変なところで遭わなくてよかったなあ。カモシカに激突されて滑落なんてシャレにならんです。
正体は・・・

トラバース道は不明瞭な個所もあるが、歩けるところを行けばそれが道みたいなもの。 カールのような景色を見ながらずり落ちない様に歩き、黄金色のナナカマドのトンネルを抜けると玉ノ窪山荘が見えてくる。

カールのような斜面 トラバース道
カールのような斜面 トラバース道

ナナカマドのトンネル 玉ノ窪山荘
ナナカマドのトンネル 玉ノ窪山荘

玉ノ窪山荘は営業が終わっているようで人影が無かった。立地は良いけれどハイシーズンでも静かそうな小屋だ。 木曽駒へ登り出すと福島Bコースの方から登山者が登ってきているのが見える。今日初めて見た人間だ。ほんとに静かな渋いコースだねぇ。

木曽駒ヶ岳へ
木曽駒ヶ岳へ

上空の雲はどんどん流れ青空が見えていた。空へ向かって伸び上がる駒ヶ岳の斜面は、今シーズンのアルプス納めにふさわしい光景だ。


木曽駒ヶ岳山頂

人けがする頂上木曽小屋を越え、砂礫をもう一登りして山頂に着いた。 登山口から4時間35分後。我ながらこの時間でよく登って来たもんだ。
木曽駒ヶ岳山頂


千畳敷方面

数年ぶりの景色を見ながら達成感に浸る。
千畳敷方面

木曽駒ヶ岳の山頂へは、絶え間なく千畳敷の方から人が登ってくる。 観光でロープーウェイに乗ったのか、普段着やスニーカーの人もいて、ここが中央アルプスの最高峰とは思えない雰囲気だ。 まあ、そんな山があっても良いんだろうね。

宝剣岳を指差す人たち 頂上木曽小屋、遠望は木曽御嶽山
宝剣岳を指差す人たち 頂上木曽小屋、遠望は木曽御嶽山

岩に腰を据え、おにぎりを2つ食べてから、15分ほどで山頂を切り上げた。 今日はまだ先が長いし、賑わう山は長居する気分ではなかった。 今年一年無事に山歩きが出来たことを感謝し、山頂神社でお参りしてから出発。

左には宝剣から伸びる三ノ沢岳 目前には木曽前岳と麦草岳
左には宝剣から伸びる三ノ沢岳 目前には木曽前岳と麦草岳
植生の境目がくっきり分かれている

木曽前岳の山頂部は平坦でハイマツに覆われていた。 ここから見る木曽駒ヶ岳から宝剣岳への山稜は雄大だった。 また、宝剣岳が木曽駒の引き立て役になっているのもいい。

宝剣−三ノ沢の稜線 木曽駒−宝剣 木曽前岳より
宝剣−三ノ沢の稜線 木曽駒−宝剣 木曽前岳より

下山方向の上松Aコースを見下ろすと、紅葉がもこもこっと散らばってきれいな尾根が伸びていた。 下り始めて程なく3人の登山者とすれ違った。今日は上で泊まるような話をしている。 いつもは羨ましがるところだが、今日は下れば美味しいきのこ達が待っている。 飲み遅れないように早く下山しなきゃ。

上松Aコースの黄葉 木曽前岳より 三ノ沢岳と紅葉 上松Aコースにて
上松Aコースの黄葉 木曽前岳より 三ノ沢岳と紅葉 上松Aコースにて

麦草岳−牙岩の稜線 宝剣岳と黄葉 上松Aコースより
麦草岳−牙岩の稜線 上松Aコースより
こちらから見るとすごい崩壊地だ。登山道は反対側についている。
宝剣岳と黄葉 上松Aコースより

上松Aコースにも、登山口から木曽駒ヶ岳までの合目表示の標識がある。こちらの方が標識の数も多いし、登山道もしっかりとしていた。 Bコースは林道歩きが長いし、点線区間もあるので、Aコースの方がより歩かれているのも当たり前か。

登山道 遠見場 ちょこっと展望有り 整備されている道
登山道 遠見場 ちょこっと展望有り 整備されている道

テンポよく歩いて合目表示をだんだん小さくしていくと、金懸小屋に到着。 内部はきれいで、外にトイレもあるので泊まるには良さそう。だけど立地が微妙だな。

水場 出ていました 金懸小屋 五合目です 金懸小屋内部
水場 出ていました 金懸小屋 五合目です 金懸小屋内部

敬神ノ滝
敬神ノ滝

あともう少し!と、急ぎ足で下っていたら、沢音が聞こえてきて敬神ノ滝に到着。涼しげな音に誘われて滝の写真を撮ろうとしていたら、また「ドドドッ」と、今度は斜面の上方を猪が激走していった。 あっけにとられて見ていたら、その猪が走った後から落石が襲ってくる。あぶないって。  まったく木曽はすごいよ。

敬神ノ滝山荘は休憩所のようになっていた。近くの黒板式の掲示板には、金懸小屋付近で親子連れの熊に遭遇した情報が書かれていた。 あのー猪もいるんですけど。


久しぶりの車道、のはずが・・?

山荘前からは舗装になり、「このまま道なりに行けばいいんだなー」と適当に歩いていたら、大きく右に曲がりながら登りになってきた。あれ?と、 逆に山の中に向かうように進んでいると、これまた突然、林道右側の茂みの中から「ウォフッ、フゥゥッ!」と大きな獣の唸り声が聞こえた、ような。
久しぶりの車道、のはずが・・?

一瞬固まって後ずさり。数十秒置いてから、ためしにまた近寄ってみると、「バキバキッ」と枝を踏み折る音の後、また同じような唸り声が。 あーーー気のせいじゃないよー、なんか凄いのが居るー。遠くから石をめちゃくちゃ投げ込んで数分待つ(ってこんな行為あぶないと思う)。 そーっと近寄ってみたら、同じく枝が折れる音と唸り声。こんな駆け引きをするのは、鹿でもカモシカでも猪でもなく、やっぱり、熊さん?

さすがにこのまま突っ切ることもできずに、左側の河原から迂回。でも、しばらく進んだところで、どう考えても道迷いであることが判った。 苦労して越えたのに・・・。また迂回して道を戻って行くと、小さく「登山道→」の仮の道標有り。あぁ、これを見落とさなかったら、こんなことには。。。


上松Aコース登山口 駐車場有

道標から少し歩いて行くと、すんなりと登山口到着。はぁ。

そういやこの前、木曽駒荘で、熊・猪・鹿の肉をご馳走してもらったっけ。熊肉は初めてだったけど大変良い肉だそうで、とても柔らかくて臭みも無く美味しかった。 今日はその仲間の敵討ち?をされたような感じだ。いろいろ恐かったなあ・・・。
上松Aコース登山口 駐車場有

牙岩−木曽前岳の稜線
牙岩−木曽前岳の稜線
上松Aコース登山口より

空に突き出る牙岩が見える。ここからの眺めは何度か目にしていたけれど、あの牙岩を歩いてきた後にこうやって眺めるていると、 ぞくぞくするような満足感が沸き上がってくる。

さて残すは、この上松Aコース登山口から、上松Bコース登山口(木曽駒荘)まで、車道歩きが4kmと少しだけ。 こんな距離は山行後のストレッチみたいなもの、のんびり、、、とはいかず、ビールが飲みたくて飲みたくて、いつの間にか急ぎ足。

そうして歩いていると、あと2km足らずのところで、前方から見覚えのある車が。乗っている人が「ニカッ」と白い歯を見せて、こちらを見ている。 あ、木曽駒さんだ。車をやり過ごした後は走って逃げる。なんだ、最後に出くわしたのは、熊より大物の木曽のおっかさんだったか。

で、結局、追いつかれた木曽駒号に連れ去られて、2分で木曽駒荘到着。

あーん、あと少しのところで見っかった 木曽駒荘では皆がキノコの仕分け中。ごっつぁんです! それでは、、、カンパイ!
あーん、あと少しのところで見っかった 木曽駒荘では皆がキノコの仕分け中。ごっつぁんです! それでは、、、カンパイ!

いろいろあって疲れた一日だったけど、このコースを歩き通して、そのまま秋の味覚で一杯だもの。
これほど幸せな一日は、そうはないよね?


中央アルプスへ