尾瀬ヶ原周遊 −水芭蕉の頃−  08.06.01
富士見下P      05:10
竜宮十字路      07:55 −中田代周遊、東電小屋昼食−
竜宮十字路      10:50
鳩待峠        13:50
横田代        15:10 昼寝 15:40発
アヤメ平       16:05    16:15発
富士見下P      18:00 (全39.5kmの欲張りコース)
ここ数ヶ月は体が低調で山への気力もあまり湧かず(そんな時もあるさ、楽してよっと)なーんて思っていたら、 元々インドアな性格が増幅されて、あまりにも毎週末引きこもりになってしまったので、ここは一発、体に活を入れねばと、 この時期では欲張りなコースに決めて、尾瀬を歩きまくることにした。

3度目の目覚ましで嫌々起きて、いつもの富士見下の駐車場へ。車は5,6台。それなりに入っているようだ。 たったか歩きだして、額に汗がにじんで上着を脱ぎたくなる頃に田代原へ着く。

熊沢田代 田代原の森

朝日を浴びて、ブナの新緑が森の中に淡く輝やいているのが心を和ませてくれる。

分かっていることなのだが、(山へ来てやっぱり良かった)と思える瞬間だ。

林道歩きも良いもんだ 森の様々な緑に癒される
林道歩きも良いもんだ 森の様々な緑に癒される

気分良く歩いて行くと林道の斜面に残雪が出てきた。雪の割れ目からはフキノトウが顔を出し、雪深い深山の春は、今が真っ最中なんだなと感じる。 他の花もちらほらと咲いている。緑濃くなると、ハクサンチドリや、ヤマオダマキなども咲く林道なので、距離は長いが好きな入山口だ。

イワナシ 岩梨 フキ 蕗 エンレイソウ 延齢草
イワナシ 岩梨 ツツジ科 フキ 蕗 キク科 エンレイソウ 延齢草 ユリ科

やがて雪を付けたアヤメ平の縁が見えてきた。直下の林道から見上げると、冬路沢へと落ちる小沢に雪が溜まっている。 回り込むように林道を進むと富士見小屋へ到着。小屋前には雪の塊があり、今日は営業はしていないのか、カーテンが閉められひっそりとしていた。

林道 アヤメ平を見上げる 富士見小屋
林道 アヤメ平を見上げる 富士見小屋

さて、小屋から一歩踏み出すと木道は残雪の下。滑りながら登って富士見田代から尾瀬ヶ原へ。 富士見田代の池塘も雪に覆われ、思っていたよりも雪融けが進んでいない。

長沢新道の木道は大変滑りやすいので、昨日の雨もありけっこう心配だったのだが、今日は締まった残雪歩きが続いたので、小気味よく下ることができて楽々。 しかし下るにつれて木道が顔を出し、朝方の冷え込みで表面が白く凍っていた為、滑らないよう小股で歩いて足に変な疲れが残った。

一歩樹林帯に入ると雪道 富士見田代 長沢新道もしばらくは雪の道
一歩樹林帯に入ると雪道 富士見田代 長沢新道もしばらくは雪の道

滑る木道から開放され、どんどん標高を下げて行くと、長沢の沢音と小鳥のさえずりがBGMのブナの森になる。 ここまで来ると道も平坦となり、ポケっと歩くのが心地いい。

ブナの巨木の森 長沢の水芭蕉の大群生
ブナの巨木の森 長沢の水芭蕉の大群生

原に出ると水芭蕉の大群生。竜宮十字路までのこの間の群生は見事なものだが、葉が大きく目立ってきているので、ここは先週が見頃だったんだろう。 ま、見頃と言っても、緑少ない湿原に白が散らばるのが絵になるという嗜好を言ってるだけなので、もっと緑が増え、違う花も咲き出し、湿原がより瑞々しくなる来週も良い景色だろう。

竜宮十字路はまだ朝方というのに賑わっている。昨日は尾瀬も雨だったので、泊まった方が今日の快晴の尾瀬を、ゆるりと楽しんでいるようだ。

竜宮十字路 背後の山は景鶴山 燧ヶ岳 竜宮十字路より
竜宮十字路 背後の山は景鶴山 燧ヶ岳 竜宮十字路より

よし、雲一つ無い良い天気だ。予報通り今日の天気は持ちそう。竜宮十字路で熊鈴を外してから、中田代のザ・尾瀬な写真ポイントまで進む。

水量豊富な湿原にかかる木道 竜宮付近 至仏山へ伸びる木道 竜宮付近
水量豊富な湿原にかかる木道 竜宮付近 至仏山へ伸びる木道 竜宮付近

中田代の白樺と池塘 池塘に映るカラフルな登山者
中田代の白樺と池塘 池塘に映るカラフルな登山者

中田代の写真撮影ポイントの木道は人溜まりができていた。隣のおばちゃんが「誰が撮ったっていい写真になるわよね」、と笑っているぐらいの景色。 まったくその通りと、私も一枚パシャリ。ベタな絵だけれども、やっぱり絶妙な風景だなあ。

下ノ大堀川の水芭蕉と至仏山
下ノ大堀川の水芭蕉と至仏山

さて、今日はめいいっぱい尾瀬を楽しんでやろうと思っているので、中田代をぐるっと回って東電小屋まで行ってみようか。

水芭蕉の頃、快晴の日曜ともなると 水芭蕉の頃、快晴の日曜ともなると

牛首から山ノ鼻にかけて、木道は人が連なっている。何時間後にあれに合流するのか・・・。

牛首からヨッピ橋の方へ折れると、途端に人が少なくなる。 木道で立ち止まって写真を撮っていても、他の人の邪魔になることがないので、ゆっくりと歩く。

湿原の中の1本の小木 池塘に映る白樺林
湿原の中の1本の小木 池塘に映る白樺林

リュウキンカ 立金花 キンポウゲ科 タテヤマリンドウ 立山竜胆 リンドウ科 ショウジョウバカマ 猩々袴 ユリ科
リュウキンカ 立金花
キンポウゲ科
タテヤマリンドウ 立山竜胆
リンドウ科
ショウジョウバカマ 猩々袴
ユリ科

ヨシッ掘田代 景鶴山
ヨシッ掘田代 景鶴山

東電小屋でお昼にした。時計はまだ10時、車の運転までは約8時間あるので、問題無しと理由をつけてビールをグイっと。 桜と立金花と至仏山の風景を見ながらいい気分。

東電小屋前の立金花の群落 東電小屋のミネザクラ
東電小屋前の立金花の群落 東電小屋のミネザクラ

東電尾瀬橋は、まだ工事中で(”7月まで”と工事の看板に書いてあったので、キスゲの時期には間に合うかも?) 、ヨッピ橋から竜宮に戻って鳩待峠へ向かう。牛首あたりから木道の混雑がひどくなり、まあ、今日のこの尾瀬では仕方無い。

ヒメイチゲ 姫一華 キンポウゲ科 ヨッピ橋 お昼時で混雑の竜宮
ヒメイチゲ 姫一華
キンポウゲ科
ヨッピ橋 お昼時で混雑の竜宮

池塘群 上田代にて 山ノ鼻へ 上田代にて
池塘群 上田代にて 山ノ鼻へ 上田代にて

ミツガシワ 三槲 リンドウ科 ザゼンソウ 座禅草 サトイモ科 ミズバショウ 水芭蕉 サトイモ科
ミツガシワ 三槲 リンドウ科 ザゼンソウ 座禅草 サトイモ科 ミズバショウ 水芭蕉
サトイモ科

山ノ鼻の植物研究見本園では、水の流れの中に水芭蕉が浮かぶようにたくさん咲いている。 遅霜の影響で先が茶色くなった水芭蕉が多いが、意外と歩く人も少なくのんびりと散策ができた。

水流に浮かぶ水芭蕉 植物研究見本園にて 山ノ鼻の風景 植物研究見本園にて
水流に浮かぶ水芭蕉 植物研究見本園にて 山ノ鼻の風景 植物研究見本園にて

熊沢田代 水芭蕉と木道

ここの水芭蕉は小振りでかわいい。木道はところどころ冠水していたが、それもこの時期の風物詩だ。

観光客で賑わう山ノ鼻は素通りして鳩待峠へ。この道ならではの花も咲くのだが、とても止まって写真を撮っていられる状況ではない。木道を左に右に移り替えて、人の流れが無くなる時を見計らって花を撮った。 登りになると立ち止まるぐらいに渋滞。皆が帰る時間帯に重なってしまったようだ。

対向者が居ない時に早足で左側を進むと、渋滞の先頭は杖を突いたおばあさん。娘さんだろうか「ゆっくりで、すみませんね。」との言葉が耳に残った。 おばあさんは今日の尾瀬をどう感じただろうか。山の人には人ごみで敬遠されがちな尾瀬だが、この美しい風景は皆に見てもらいたい。 たとえ、鳩待峠から山ノ鼻の見本園を周遊しただけだとしても、残雪をまとった山や、日に輝く湿原や、散りばめた様に咲く水芭蕉は、素晴らしかったに違いない。

ミヤマスミレ 深山菫 スミレ科 コミヤマカタバミ 小深山傍食 カタバミ科 サンカヨウ 山荷葉 メギ科
ミヤマスミレ 深山菫 スミレ科 コミヤマカタバミ 小深山傍食
カタバミ科
サンカヨウ 山荷葉 メギ科

スミレサイシン 菫細辛 スミレ科 オオバキスミレ 大葉黄菫 スミレ科 鳩待峠
スミレサイシン 菫細辛
スミレ科
オオバキスミレ 大葉黄菫
スミレ科
鳩待峠

鳩待峠はバス待ちと花豆ジェラードを食べる人々。外れの方に移動しておにぎりを腹に入れて出発。 アヤメ平方面に向かう鳩待通りを登って行くと、鳩待峠の喧騒がだんだんと薄れ、すぐに朝方の静かな時間が戻ってきた。

道は木道になったと思ったら、川の様に水が流れていた。すると程なく木道は雪の下へ。 雪はだんだんと厚くなり、森全体が残雪になった。不思議に締まっていって、踏み抜きなど一度も無く、ちょっと迷っただけで横田代へ。 登りでは迷っても大したことは無いが、この時期、下りは慎重に行かなねばならない。

登山道 木道は川のよう スニーカーではきつい 横田代への出口
登山道 木道は川のよう スニーカーではきつい 横田代への出口

横田代 横田代

木道脇の休憩スペースで大休止。この大きな至仏山を見ながら横になっていたら、いつしか目を閉じて瞑想モードへ。

気付けば15:40、30分ほど眠ってしまったようだ。ここは風も弱く昼寝にはいい場所だ。

一旦休むと、長い木道歩きで痛めた箇所の痛みが増しているのが分かる。足を引きずるように進んだ。

空にぽっかりと浮かんだアヤメ平を行く。歩くたびに、靴音と、装備が擦れる音が、やけに大きく聞こえた。

アヤメ平にて アヤメ平にて

立ち止まれば、耳元で風が渦巻く音だけしかしない。

至仏山を見ると、波打った池塘の水面が、西日にきらめいていた。

私にとってはこれが幸せな時間。横田代で単独の登山者とすれ違った以降は、私だけの山になった。

アヤメ平 残雪と燧ヶ岳
アヤメ平 残雪と燧ヶ岳

アヤメ平南部の斜面 セン沢田代の木道
アヤメ平南部の斜面 セン沢田代の木道

斜陽の中、だんだんと暗くなる林道を富士見下へ。駐車場には私の車と、地元の人らしい軽トラックだけ。 2台になったかと思っていると、視界の中で急に動き出す物があってびっくり。

富士見下の鹿

尾瀬界隈で鹿を見たのは初めてだ。そういえば車中泊をした時に、盛んに鳴き声がしていたっけ。

ここで鹿が待っているとは驚きだったが、長い一日の最後にこんな出会いが用意されているなんてね。にんまりしながら、そっと車のドアを開けた。
富士見下の鹿


尾瀬・日光ヘ