晩秋の尾瀬ヶ原・尾瀬沼 −小屋閉めの頃−  07.11.02-03
1日目 07/11/02
富士見下P      06:45
富士見小屋      08:25
竜宮十字路      10:00 −牛首まで散歩−
見晴(下田代十字路) 11:25
沼尻         12:45
長蔵小屋       14:05

三連休の前半、今年もまた小屋が閉まる頃の静かな尾瀬を歩きたくなり、尾瀬沼湖畔の長蔵小屋へ予約を入れた。 翌日、霧雨の戸倉を抜け、入山はいつもの富士見下からにした。

富士見下駐車場

泊まりなので出発はのんびりとしたもの。それなのに駐車場には私の車だけだった。
富士見下の鹿

紅葉の時期も過ぎ、林道の濡れた落ち葉が、余計に寂しさを感じさせる。雨はほぼ止んだようだが、今日の尾瀬に人が少ないのは確かだろう。 ひたすらに静かな林道を足早に富士見小屋へ。せっかくの一眼デジカメのデビュー山行なのに、撮る気が起きない寂しい天気と風景ばかり。

湿った大気 富士見小屋 営業終了 トイレも閉め切り
湿った大気 富士見小屋 営業終了 トイレも閉め切り

長沢尻 長沢尻

明日の晴れを期待して、アヤメ平には寄らずにそのまま原へ。

冬眠前の熊が恐いので、2つ着けた熊鈴をジャカジャカ鳴らしながら、濡れた木道を慎重に歩いて原へ下りた。

竜宮十字路

竜宮まで来ても誰とも会わなかった。ほんとに小屋が営業しているのか疑わしくなってしまう。
竜宮十字路

ガスは周囲の山の中間まで下がっているだけなので、尾瀬ヶ原自体の見晴らしは利いていた。 こんな天気でしんみり歩くもの悪くないかな、と、この侘しさを味わいながら木道をぽくぽく歩く。

林道歩きも良いもんだ 森の様々な緑に癒される
やっと「こんにちは」
竜宮−牛首間の木道は補修工事が始まっていた。
この時期ならではの風景。
シラカバと池塘 中田代にて
こんな日でも絵になりますね。やるな、尾瀬。

尾瀬の木道の総延長は約60km。頻繁に木道の補修がされるのは、それだけ人の歩くダメージを吸収している、ということなのだろう。

この時期なのに、荷物をたくさん積んだ歩荷さんが歩いていた。ごみを運んでいるのか、今年最後の仕事かな?。 好きな尾瀬の時期を尋ねたら、どんな答えが返って来るのだろうか?。後ろ姿を見送りながら、そんなことが頭に浮かぶ。

一面がオレンジ色に染まり、風が渡るとキラキラとさざなみが輝く草紅葉は、もう、ひと月も前のこと。目の前に広がる雨に倒れた枯草の原は、冬入り間近の姿だった。 でも、私はこの時期が尾瀬で一番好きなのかもしれない。やっぱり天邪鬼なのかな?

竜宮 竜宮へ戻る

幸いに雨も完全にあがった。今日は中田代を周らずに、牛首手前で来た道をひき返し尾瀬沼へ。

ぽつん、ぽつん、と登山者とすれ違いながら見晴(下田代十字路)まで来た。

見晴

営業しているのは1,2軒だけで、板戸で窓を塞がれ、文字通り「小屋閉め」された小屋ばかりだった。

お湯が出なくなって廃業した温泉街みたいな風景だな。
見晴

見晴を素通りし森に入ると、木の葉が落ちた明るい木道。 濡れた木道と落ち葉のやっかいな相性の道を歩き、沼尻川の沢音だけが響く段小屋坂の道を無心で歩けば、やがて視界が開けて白砂田代に着く。

段小屋坂 姥百合かな? 白砂田代
段小屋坂 姥百合かな? 白砂田代

沼尻

沼尻休憩所も冬支度が済んでいた。ちょっと青いビニールシートが景観に合わないが、こんな光景を見る人はほとんど居ないだろうし、まあ、いいのか。
沼尻

どんよりとしていた空にも、わずかに光が差し込んできていた。夕焼けの期待も出て、少し上気しながら小屋へ向かう。

長蔵小屋 長蔵小屋

大江湿原に出ると、まず湿原に取り残されたように立つ三本カラマツと、尾瀬沼のほとりの長蔵小屋が目に入る。

小屋は、終わりかけのカラマツの黄葉に囲まれ、その美しい佇まいが11月とは思えなかった。

三本カラマツ 大江湿原 燧ヶ岳が姿を現した 大江湿原
三本カラマツ 大江湿原 燧ヶ岳が姿を現す 大江湿原

長蔵小屋 今日の部屋は2階だった 談話室
長蔵小屋 今日の部屋は2階だった 談話室

小屋の手続きを終えたら談話室へ。暖かな部屋で、ビールと持参のツマミで過ごす時間は、身も心もとろけるようで思考が止まる。

夕方を待ってカメラを持ち外に出ると、薄赤くなった空に燧ヶ岳が黒々としたシルエットを見せていた。 ゆらめく沼の水面には、遠く沈んでいるだろう夕日が照らす空が映り込んで、いつもの尾瀬沼とは違った景色。良い一日だったと1人しばらく眺めた。

燧ヶ岳 長蔵小屋より 尾瀬沼 長蔵小屋より
燧ヶ岳 長蔵小屋より 尾瀬沼 長蔵小屋より

夕食後は部屋に戻り、同部屋の方たちと少し話をした。各々こたつに足を入れて、誰からともなく、尾瀬のことや、山のことなどを。

尾瀬沼の星空

話が途切れ、皆が寝る準備を始めたら、私はもう一度小屋の外に出た。

見上げれば押しつぶされるような星空。今日は本当に静かな尾瀬だった。
尾瀬沼の星空


2日目 07/11/03
長蔵小屋       07:20
沼尻         08:20
見晴(下田代十字路) 09:25
鳩街峠        12:20
アヤメ平       14:30
富士見下       16:20

翌朝は、きりっとした寒さ。夜明けは昨夜の星空通りに、良い天気で始まった。

朝焼けの燧ヶ岳 朝焼けの燧ヶ岳

小屋の裏手からは、沼に映る燧ヶ岳と水面を漂う朝もやがきれい。

これぞ深山の湖上の風景というところかな。

朝食が終わると、1人、また1人と小屋を出発し、それぞれの尾瀬へと消えていく。

さあ帰ろう さあ帰ろう

霜が下りた木道には、狐ぐらいの大きさの動物の足跡。 半年もの間、雪に閉ざされる尾瀬で生きるのは大変なことだろう。 動物もそうだが、植物もよくあの豪雪を耐えて、毎年、季節が巡るごとに美しい花を付けられるものだ。

燧ヶ岳 尾瀬沼ヒュッテより 秋雲が映る大江川
燧ヶ岳 尾瀬沼ヒュッテより
さすがにテーブル類は片付けられていた
秋雲が映る大江川

途中、沼の向こうに山が見えたので、ん?と、よく考えてみたら、あれは至仏山じゃないですか。 沼から見えるという印象はまったく無かったのでこれは新しい発見。

立ち枯れのイワショウブかな? 至仏山が見える 尾瀬沼と皿伏山
立ち枯れのイワショウブかな? 至仏山が見える 尾瀬沼と皿伏山

秋の空には三匹の親子龍 お月さんも見えていた
秋の空には三匹の親子龍 お月さんも見えていた

見晴は相変わらず冷え切った温泉町のよう。 今日は、ここから尾瀬ヶ原を縦断して、鳩待峠からアヤメ平へ登るロングコース。 でも、そんなに長く歩けることが嬉しくなる秋空だ。

下田代 見晴より 見晴の上に燧
下田代 見晴より
今度は至仏山に鳳凰が飛んでいる。こりゃ縁起がいいね。
見晴の上に燧
こちら側は霧氷がついたようだ。

竜宮付近の木道 竜宮付近の木道

新しく出来た木道で、個人的にけっこう好きな場所だ。

中田代の池塘 川には魚がたくさん
中田代の池塘 川には魚がたくさん 網があれば大漁だね

中田代のシラカバ 池沼と燧 牛首付近
中田代のシラカバ 池沼と燧 牛首付近

至仏山と池沼
至仏山と池沼

昨日の尾瀬ヶ原の印象とはえらい違いだ。天気一つで山の印象なんて全く変わるものだしね。 今年最後の尾瀬の輝きの中を歩ける幸せ、ニコニコだ。

長沢尻 鳩待峠

閑散とした山ノ鼻を抜けて、一気に鳩待峠まで。

峠に着いたら、あららびっくり。マイカーがずらっと止まっている。 あ、そうか、このわずかな期間も規制が解除されるんだっけか。 駐車料金2500円は高いけど、今日の様な日に原や至仏山を歩けるのは気持ちいい。

鳩待通りの登山道 つたも紅葉する
鳩待通りの登山道 つたも紅葉する

横田代 至仏山 横田代より
横田代 至仏山 横田代より

至仏山 アヤメ平より 燧ヶ岳 アヤメ平より
至仏山 アヤメ平より 燧ヶ岳 アヤメ平より

アヤメ平には二組の先客あり。 彼らが帰った後、寝転んで晩秋の風を楽しもう、なんて思っていたら、実際は風がものすごく冷たく、もう、そういう時期なんだなと妙に納得。

まあ、いいか、帰ろう。

富士見小屋へ下ります 斜陽に輝く富士見田代
富士見小屋へ下ります 斜陽に輝く富士見田代

富士見下へ< 富士見下へ

林道まで下りてくると暖かで、ほっと一息。

アヤメ平を見上げて「また来年」と声をかけ、今年の様々な尾瀬を思い浮かべながら富士見下へ下った。


尾瀬・日光ヘ