白馬鑓ヶ岳 2903.1m 08.09.22-23
雨,晴れ

いやぁ、私と後立山との相性は、ほんとに悪いなあと思った。 五竜−鹿島槍−扇沢と繋ぐ2泊3日の山行予定で白馬村まで来てみれば、強い雨と横風が混じった、ザ・悪天。 予報が外れて今日はずっとダメらしい。2年前の山行も同じ行程で吹雪きにはばまれ、唐松岳頂上山荘に2連泊したこともある。 大雪渓から登った白馬岳も、2回連続風雨でそのどちらも天泊できずに、トイレ泊なんかも経験したことがあったっけ。

コンビニの駐車場で「どーすっかなー」と、今回のパートナーのしげぞうさん と話しながら、後座席に転がっていた色褪せた情報誌を見ていると、富山の”白えびかき揚げ丼”の写真が目に留まる。


昼飯はこれだー!なんて、ブルーな心に妙なスイッチが入って、その日は一日食っちゃ寝の日本海の幸ツアーで終了。
写真は生地の魚の駅で食べたカニ。なんとこれで500円ー!
※多少遠近法使用。

山なんかどうでもいいから、余生はここで過ごしたいと思った。
生地のカニ

白馬から富山を往復中に親不知にも寄って、この夏ここへ降りて来たんだなあと感慨深いものがあった。 でも、2人とも親不知まで縦走済というのが山ニア過ぎでアホですな。

さて明日以降は天候も回復しそうだ。せっかく来たのだから、何かしら登って帰りましょうと、さんざん迷った末に、2人共まだ行ったことがない白馬鑓温泉に決定。 カニ食って温泉か、こりゃまったりだ。すごくいい案に思えてきた。


1日目
猿倉P6:40−鑓温泉小屋10:20(天泊)

白馬八方で車中泊して、翌朝早くに猿倉の駐車場入り。飛び石連休とはいえ、今日は平日だし夜は雨が降っていたので、いつもは賑わう駐車場も殺風景で寂しいかぎり。 夏に起きた大雪渓の土砂崩れの影響も否めないのだろう。

今日は降られても大した登りではないし、温泉で温まれるからと、レインウェアを着てのんびり出発。 駐車場の登山情報が貼り付けられた掲示板には、猿倉−白馬鑓温泉間での土砂崩れによるルートの注意点などが書かれてあった。 降雨後なので少し心配だ。

林道から鑓温泉へ続く登山道へ入り、しばらく歩くと汗が噴き出してきた。いい登山道が続いている。下草などに濡らされると思って着用していたレインウェアを脱ぐことにした。 すると程なくして小雨が。低木帯のトンネルを歩いていたけれど、本降りになってきたのでまた着用。暑がりなので雨降りの歩きが不快でたまらず、ピッチもあがらない。

猿倉の駐車場 がらぁん 登山情報はよく確認しておきましょう いざ鑓温泉へ!
猿倉の駐車場 がらぁん 登山情報はよく確認しておきましょう いざ鑓温泉へ!

写真を撮る気も起きず、展望は明日に期待して我慢の登り。それでも小日向(おびなた)のコルまで1時間半で来た。予定の山域じゃないので地図が無いが、なんか早く感じる。 先を歩くしげぞうさんがぐんぐん行くんだもの。テント全装背負って私より重いザックなのに。ビールを2,3Lぐらい積んできてもらえばよかった。まじで。

コルを越えてしばらく行くと、展望が開け、遠く、山肌にへばり付くように鑓温泉小屋が見えてきた。 でもここからは、幾本かの沢を渡る長いトラバース道が始まる。 幸い雨は止み、いくぶん空も明るくなったので、ビールが楽しみになり(登る前から楽しみだけど)、 道の文句ばかり言いながら歩いた。

登山者と会うこもと稀な日だったが、杓子沢の手前で降りてきた登山者にびっくり!わわーK林さん親子じゃないですか! またなんでこんな天気と場所で!

杓子沢にて
杓子沢にて

K林さん親子としげぞうさん。K林さんは、猿倉から鑓、杓子、白馬を通って栂池までの2泊3日の予定だったが、 今日の朝も雨模様で、もういいや、と降りてきたところだったとのこと。

私も数えきれないほどK林さんとはバッタリしてますが、しげぞうさんも4度目のバッタリとか。 この縁は奇跡としか言いようがないなー。

ここで、戻って飲もうと2人してK林さんを口説く。明日の天気は良さそうだよとか、温泉入りながら飲みましょうとか、いろいろ言ってたら「それもいいかー、よーし、U太戻るぞー」と落ちてくれた。

こりゃたぶん、しげぞうさん効果だな。ボク1人だったら戻ってくれたかあやしいもんだぞ。さすが山では比較的若いほうのしげぞうさんだ。うん。

杓子沢の橋 落石沢のトラバース
杓子沢の橋
今、ブルーのザックカバーがきてます!
落石沢のトラバース
なんて嫌な名前の沢なんだろう

いやらしいトラバースが続き、橋を2,3度渡った後は、季節外れのお花畑の登り。雪が多かったせいか、まだクルマユリやキンポウゲなどが咲いていた。 今年のお盆ごろは、色とりどりの花達が咲いていたのだろう。

登山道沿いの沢には越年する雪渓が残る。雪が多かったのだなあと改めて思いながら眺めていると、沢に流れ落ちる流れの上に湯気が立っていた。 鑓温泉に到着だー!

季節はずれの車百合 沢にはまだ雪渓が残る 鑓温泉小屋到着!
季節はずれの車百合 沢にはまだ雪渓が残る 鑓温泉小屋到着!

小屋の周辺には人影は無し。しんと静まりかえっている。 昨日、K林さんは沢側にテントを張っていたところ、夜中に内張りとフライの間に置いておいたプラティパスを動物に獲られ、穴を明けられてしまったとのこと。 小屋の人に聞いたら、どうもタヌキの仕業のようだ。よく出るらしいので、少し離れたところに設営した。

そんなことをしていたら、見る間にガスがとれていき、見事な青空が広がった。その劇的な変化に、皆で「キター!」と興奮の声。


鑓温泉小屋と秋が始まった山腹

ああ、なんて眩しい空なんだ。今日は曇りでも良いと思っていたのに。一気に温度があがって、ビール日和になっちゃったぞ。
鑓温泉小屋と秋が始まった山腹

ここで設営を終えたしげぞうさんが「天気も良くなったから鑓に行きましょうー!」と言っている。 もう、すっかりまったりモードのスイッチが入っていたので、泊まり日のまったり時間がいかに重要かを伝えて、「いやだー飲もうよー温泉入ろうよー」と懇願。 それに渋々折れてくれて、早速、足湯に浸かりながら小ビールで乾杯。にゃは♪

天場脇の足湯 無料 混浴露天風呂 天場から見上げれば丸見え 露天風呂に浸かりながら
天場脇の足湯 無料 混浴露天風呂 天場から見上げれば丸見え 露天風呂に浸かりながら

鑓温泉のお湯はとても熱い。ちょっと入っただけでも体がポカポカ。5−10分ほど短い時間で、日に何度か入るのが良いとのこと。 天場代が500円/人、入浴料300円/人だが、一度払えば一日入り放題(24時間OK)なので、温泉好きにはたまらないところだ。

あっは〜ん 足湯から撮ってもらっちった 足湯にて
あっは〜ん 足湯から撮ってもらっちった 足湯にて K林さん、U太くん、しげぞうさん

温まった後は、足湯にて、ひたすら、ひたすら、飲み続けた。12時には酔っ払いが完成してたっけ。 ぽつぽつと登山者が到着してきた。足湯の酔っ払い達がにこやかに迎える。いいねー。

足湯の結成
足湯友の会結成

足湯も1人、2人と増えてきて、一期一会の楽しい仲間たちが揃った。こんなひと時が巡ってくるんだもの、山をやる理由の一つだね。
しげぞうさん提供の大きなチーズとサラミも大好評でした。おかげでビールもすすんで、500缶を5本も飲んでしまった。ふらふらですよ、まったくもう(ニコニコ)
参考→飲み物の値段表


夕飯は麻婆茄子。

またビールが欲しくなる。ビールが残っていると勘違いしてカップを一気飲みしたら、おすそ分けしてもらったウイスキーだった。

これで撃沈。。。
夕飯は麻婆茄子

暮れ行く北信や上越の山を見ながら
暮れ行く北信や上越の山を見ながら

あとはテントの中に入ってワインタイム。今日はすんごく飲んだ。夜にしげぞうさんが露天に出たのも気付かないほどぐっすり。

満天の星空の下の露天風呂は、とてもステキな時間だったらしい。


2日目
鑓温泉小屋05:25−白馬鑓ヶ岳07:45−大出原08:35/09:15−鑓温泉小屋10:00/11:15−猿倉荘14:25


バタバタとフライがはためく音で目が覚めた。時刻は午前2時過ぎ。

月光が生地を透かしてテントの中もぼうっと明るかった。テントから頭を出すと辺りは青白い世界。外に出ると足元の草の月影が風に揺れていた。 トイレから戻る時、そのまま温泉に入ろうかなと思ったけれど、酒が残る体は睡眠の方を欲しているようで大人しくシュラフに潜った。

携帯の4時の目覚ましからだいぶ遅れて起きるが、飲み過ぎが効いていて食欲無し。 コーヒーでなんとか体が目覚め、2人でラーメン1袋の朝ご飯。飲み過ぎ注意ですな(今さら)。


朝、天場より

天場からは特徴ある平たい頂の高妻山が正面に見える。妙高と火打が左に続き、北信界隈の山が一望だ。

唐松岳から見たこの絵と比較すれば、同定しやすいかな。
朝、天場より

最低限の装備で出発。小屋の前はすでに人だかりができていて、朝食の時間で呼ばれる人や、温泉に入る人たちの間を通って登り始める。 やがて日の出になり、山際の樹木のシルエットが鮮やかに浮かびあがって、登山道が赤く染まった。

いい朝だ 朝焼けの中たったか歩く人
いい朝だ 朝焼けの中たったか歩く人


クサリ場

気になっていた途中のクサリ場は、露岩地帯で高度感はあるが、危険というほどでもない。ただ、妙に岩が滑りやすく、長く続くので油断は禁物。
クサリ場

クサリ地帯が終わると森林限界になり、まるでカールの底に出たような風景になった。稜線はまだ遥か上方にスカイラインを引いている。 昨日はトラバース道が長かったので、泊りのわりには二日目もかなり登ることになる。(後で計算したら、鑓温泉から白馬鑓ヶ岳は標高差900mだった)

白馬鑓ヶ岳 2672ピークかな?
白馬鑓ヶ岳 2672ピークかな?

下界は雲が溜まる 下草も色付く
下界は雲が溜まる 下草も色付く

周りを取り囲む山稜が雄大な風景だ。期待していなかった道だが、さすがアルプス、美しい。ナナカマドの葉も紅葉し、高山の早い秋も深まりつつある。

天気も上々、軽身なので調子よく登って稜線に出ると、もの凄い風だ。前に立っているしげぞうさんの体が斜めになっているほど。 鑓ヶ岳は石が積み上がられたような山容だ。たったか行くと、山頂には7:45分到着。 小屋から2時間20分。ちょっとの荷物を持った空身なので、ま、こんなところかな。

稜線に出たところ
稜線に出たところ

カメラ向けると何かしらポーズとる人。背後は白馬鑓ヶ岳。稜線は凍える強風。

白馬鑓へ 振り返って天狗の頭を見る
白馬鑓へ 振り返って天狗の頭を見る
お、立山−剱岳も見えてきた。

白馬鑓は石くずの山。でも長野側は切れ落ちています。 白馬鑓ヶ岳山頂 白馬村を見下ろす
白馬鑓は石くずの山。でも長野側は切れ落ちています。 白馬鑓ヶ岳(はくばやりがたけ)山頂 白馬村を見下ろす

やっとこちら側から白馬岳方向を見ることができた。鑓ヶ岳から見る杓子・白馬は、切り立った崖のような形で、思った以上に荒々しくて凄みがある展望だった。

中央が白馬岳、右手前が杓子岳。
中央が白馬岳、右手前が杓子岳。

うう、それにしても寒い!上空に浮かぶ大きい長い雲が一つあり、良い天気なのにそれが陽射しを遮って、体がすぐに冷たくなった。 周囲を見渡すと後立山の白馬エリアだけが日陰になっているようで、こんなに見晴らしが良いのにと、10分ほどで山頂を切り上げて下山を開始。

全部見えているのになあ。なんでここだけ日陰なの?
全部見えているのになあ。なんでここだけ日陰なの?

寒いので下ります
寒いので下ります。


登山道には随所に温泉マーク
小屋に戻ったらまた入るぞー!
温泉マーク


風が弱まる大出原で大休止し、撮影大会をしてから小屋へ下った。

大出原の紅葉その1
大手原の紅葉その1


大出原の紅葉その2

日が出てきて暖かくなったのでまったりしすぎ。
大手原の紅葉その2

またクサリ場を下って 雪渓のそばも歩きます。おー温泉屋が見えたー。
またクサリ場を下って 雪渓のそばも歩きます。おー温泉が見えたー。

小屋は昨日到着した時のような静けさが戻っていた。天場には我々のテントがポツンと一つ。 温泉に入ってから、最後に足湯のスノコに寝転がって「帰りたくないー。このまま寝ちゃいたい。」と悪あがき。

女性専用風呂 帰るのめんどくさーい 白馬村を見下ろす
女性専用風呂(撮ってもらった) 帰るのめんどくさーい でもとっとと撤収して帰ります

天気もいいし、ここからの下りも写真を撮りながらのんびりと。

トリカブト ミヤマキンポウゲ ウサギギク ノコンギク
トリカブト ミヤマキンポウゲ ウサギギク ノコンギク

杓子沢を渡る 小日向のコルより
杓子沢を渡る 小日向のコルより 鑓と杓子
※黄色枠を拡大すると→鑓温泉小屋

小日向のコルを過ぎて、草地に出ると白馬三山の好展望地あり。わわ、昨日の登りではこんな景色があるなんて思いもしなかった。よーし、最後の休憩ですな。


白馬三山

「朝はあの山頂にいたんだねーすごいねー」なんて、たわい無い話をし、心行くまでこの展望を楽しんでから猿倉に下った。
白馬三山


北アルプスへ