涸沢ビール山行 2309m  06.05.04-05

1日目 沢渡大橋BS(05:10上高地行きに乗車)
上高地バスターミナル(05:45)−徳沢(07:35)−横尾(08:30/08:45)−涸沢(11:50)幕営

2日目
涸沢(06:50)−上高地バスターミナル(10:35) 10:40沢渡行き
1日目
ついに来ました!今さらですが上高地&涸沢デビューです。長かったなぁ、前夜の思いつきがなければ今年も訪れなかったでしょう。しかもビール山行と決め打ちときたもんだ。

尾瀬デビューの時と同じようにドキドキしながら、沢渡大橋BS近くの市営第一駐車場に停めて仮眠する。 バス停の時刻表では5:30から運行と書いてあったが、車のドアの音がやたらするので起きてみれば、5時だというのに登山者を乗せたバスが発車している。繁忙期には早くから運行するらしい。

上高地バスターミナル 上高地バスターミナル

上高地に入ったのは5時半過ぎ。まだ人影もまばらで、ほんとに上高地なの?という雰囲気だ。ターミナルの周辺には除雪された雪が残り思っていたより寒い。中途半端な防寒装備なので今日の夜は大丈夫かなと心配になる。

梓川沿いを300mほど進むと河童橋だ。ここからはよく見る穂高の風景が広がっている。「へーここでこうなって見えているのかー」などど、完全に田舎者の観光客みたいだ。(ま、確かに田舎モンだけどさっ)

穂高の山稜がそびえる 河童橋にて 振り返ると焼岳が見える 河童橋にて
穂高の山稜がそびえる 河童橋にて 振り返ると焼岳が見える 河童橋にて
小梨平の天場は山に登らない人も多く張っているみたいだ。雪も無く設備も揃っているので、樹林の間から見える穂高を見ながら快適なテント泊を楽しめる。 ここで思い出したが、数年前にBE−PALから出版された「本当に気持ちいいキャンプ場100」にも廻り目平や小梨平が上位に載っていた。 でも山を登る人はその本に出ていない、もっと素晴らしい天場を知っているはずだ。

ここからは横尾まで3時間の平坦な林道が続く。左手には明神岳が角度を変えて楽しませてくれる。徳沢、横尾ともにGWということもあって盛況だ。鮮やかなテント村が雪原に映えていた。

小梨平天場 日陰は雪が多く残る 明神館と明神岳
小梨平天場 日陰は雪が多く残る 明神館と明神岳

梓川に浮かぶ明神岳 徳沢の天場 新村橋
梓川に浮かぶ明神岳 徳沢の天場 新村橋

梓川沿いを進む 横尾の天場 横尾大橋と前穂高
梓川沿いを進む 横尾の天場 横尾大橋と前穂高岳

横尾から完全な雪道になる。しばらく雪原が続き、人の歩くわだちがしっかり出来ているのだが、幅が狭くて大柄の私にはやっかいな道だった。 夏道に上がることなくトレースの付いた冬道の沢沿いを進むが、スノーブリッジが至るどころで落ちていて、踏み跡が沢の中に消えている箇所が2,3あった。慎重に山側のトレースを選んで登っていく。

横尾からは広々とした河原を行く 沢沿いの冬道
横尾からは広々とした河原を行く 沢沿いの冬道
左手には屏風岩がそそり立つ。沢の上は雪の割れ目も無くなって谷の底を黙々と登っていくが、温度が高いので抜け落ちないか心配だ。すぐ近くまでデブリも来ていて、屏風岩で落石の音がするとビクっとする。

屏風岩の下を歩く 屏風岩を見上げる
屏風岩の下を歩く 屏風岩を見上げる
本谷出合で急登が見えたのでアイゼンを履く。そしてひと登りすると前穂の北尾根が壁のように立ちはだかっていた。すごい景色だ、しばらく見入ってしまう。 回りの登山者とこの展望を喜び合い、一枚写真を撮ってもらった。
本谷出合 前穂の北尾根をバックに
本谷出合 前穂の北尾根をバックに
すり鉢の底のような風景を右曲がりで進んでいくと、あんなに高く見えた北尾根より更に高い岩稜のラインが見えてきた。これより青い色は無いと言っても過言ではない空へ向かって登っていく。

涸沢へ 夏の白馬大雪渓より暖かい天気だ。徐々に周辺を岩稜が囲んでいく。こんなに気持ちの良い登りは今までで5本の指に入るかもしれない。半笑いで登っている私の顔は下界なら通報ものだったことでしょう。

※中央の雪の盛り上がりの上に涸沢ヒュッテがある。

ギリギリで目標としていた午前中に到着できた。涸沢ヒュッテの鯉のぼりが最初に目に入る。テラスやテーブルは登山者で賑わい、皆の顔のほころび様といったらない。 天場に登ると盛大なテント村の光景に驚いた。こんな数はもちろん初めてで、ちょっとたじろぐ。早く着く理由の一つに、整地され張られていた場所を拝借しようという魂胆があった。 なにせビール山行と心に固く決めて家を出たので、スコップもピッケルも置いてきた。まったく困ったもんだ、こいつは。

涸沢ヒュッテ 今まで見たことが無い数のテントの天場
涸沢ヒュッテ 今まで見たことが無い数のテントの天場
ビールー いつもの時間の始まり〜

竹ペグが足りなくなって少々てこずったが、設営を無事に終えたら真っ先にテラスに向かう。生ビールー、乾杯だー、こりゃー、おー!

たぶん今年一番美味いビールだ。そしてなんだこの展望は。ここは日本じゃなかったっけか?

と、まずはひと息入れてから周囲を散策する。ザイデングラード方向に少し登って天場を俯瞰で眺めてみた。あんなに賑やかだった天場は涸沢カールのほんの一部だ。 人が多いのは好きでないが、こんな雄大な光景を見せられたら、そりゃみんな来るよ、と1人で納得する

奥穂を見る ザイデングラードへ登る登山者
奥穂を見る ザイデングラードへ登る登山者
※私は見晴台近くまで
少し登って天場を見下ろす 北穂を見る
少し登って天場を見下ろす 北穂を見る
散歩が終わったら本格的なビールのお時間です。テーブルは混雑していたので、1人外れの高台に登り雪面にジョッキを差してやり始める。 まずは穂高に向かって乾杯〜、あっという間に空になる。次は大天井岳へ向かって乾杯〜〜。。。 ものすごくハイテンションになってきた。でもしょうがないです、ちゃんと山行の目的を達成しなくちゃいけないし。

穂高に向かって乾杯や〜 おでんは6品 大天井岳に向かって乾杯や〜
穂高に向かって乾杯や〜 おでんは6品 大天井岳に向かって乾杯や〜

生800円→おでん生セット1400円(おでんが6品700円なので100円お得)→500ml缶ビール700円、、、散財が止まらないが下界の飲み屋で使うのとは訳が違う。 なんてったってこれが山行の目的なんだから(しつこい)。お腹も膨れたので、あとは柿ピーをつまみに持参の日本酒でへらへらと飲み続ける。

まったりしていたら、先ほど飛び立って行った東邦航空のヘリが帰ってきた。真上を通って小屋裏のヘリポートへ着陸すると同時に体を旋風で煽られた。歳に関係なく男の子なら好きな場面だ。

真上を飛ぶヘリ 着陸寸前 表銀座の稜線
真上を飛ぶヘリ 着陸寸前 表銀座の稜線
※画像クリックで詳細が出ます。

1時間前から前穂北尾根の雪壁に登っていた山スキーヤーの動きが止まった。知っていた人々はそちらを見上げている。 しばらくして1人目が滑降を始めた。かなりの急斜面をあっという間に滑ってくる。テラスから歓声が沸き上がった。この雪景色と青空だもの、さぞかし気持ちいいだろう。

前穂方面 ヒュッテの出店小屋 中央奥の黄色が私のテント
北尾根方面。赤丸を拡大すると、
※画像クリックで拡大
ヒュッテの出店小屋
おでんと生ビールが人気!
中央奥の黄色が私のテント

涸沢の落日 涸沢の落日

午後は丸々のんびりとしていたが、気持ちの良い時間はあっという間に過ぎるように、涸沢にも1日の終わりが近付いてきた。

この時期は涸沢岳の肩に日が落ちる。天幕の中や外からは夕食を作るバーナーの音が聞こえ始めた。

※この写真で16:10。

そんなに腹も減ってないが食料を無くす為にも夕飯にするか。夕げは賞味期限が半年過ぎたフリーズドライのカレーに決めている。そろそろ食べ頃なので、暑くなる前に片付けておかなければならない。
お決まりの2食分のアルファ米を作って明日の分も米を作る。カレーも2食用なので、明日朝もおのずとドライカレーに決定だ。

カレー大好き! テントの中から見える景色 夕日も穂高稜線に残るのみ
カレー大好き!
でも鷹の爪2本入りとは挑戦的だ
テントの中から見える景色 夕日も穂高稜線に残るのみ

夕食後の散歩が終わる頃には、対面の稜線からも光が消えていた。涸沢小屋まで進んでから、天場のテントを数えてみると191張(後で画像で確認)のテントを確認できた。 やはり涸沢の名は伊達ではない、集まる規模で言えば日本一の天場だろう。

シュラフに潜ったとたん気絶するように眠った。ハッと目を覚ますと真っ暗だったが、時計はまだ21時を指している。外に出てみると満天の星空が広がる。月夜の晩なのにこれほど星が見えるものなのだろうか。 カールを照らす月明かりと、まばらに点く天幕の明かり。気温も零度を少し下回るぐらい。夜の天場も散歩したが、もう少し早ければ、テントの明かりが多くて幻想的な光景だったんだろう。

涸沢岳の上にお月様 寝静まった天場
涸沢岳の上にお月様 寝静まった天場。夜更かし組が少し

2日目
AM3時半。隣のテントの物音で目覚めた。まだ暗いがアイゼンを履いて準備をしてる。今出ればちょうど稜線で朝日に照らされる時間だ。でーも、私は今日は降りるだけ。またシュラフに潜る。

涸沢の一日が始まる 涸沢の一日が始まる

光が当たらなくても4時半にはすっかり明るかった。涸沢の稜線には5時を過ぎてやっと朝日が当たった。思ったほど赤く染まらなかったが、今日の青空も澄み渡っている。

※この写真で05:12。

光を受けて 光を受けて

天場に日の光が来たのは6時を過ぎてから。朝は零度前後で暖かかった。日が当たってぐっと温度が上がる。

上へ向かう者、稜線をただ見つめる者、撤収を終えて降る者、暖かな光を受けて伸びをする者、それぞれの一日が始まった。

こげ付いた苦いドライカレーを食べて撤収にとりかかる。竹ペグはすんなり取れたが、深く刺した金属のペグは凍り付いている。トンカチで叩いて抜いたが、風の強い所では整地(風除け)がものを言う。

朝の天場て一枚撮ってもらったらおじさんから、「昨日は上に行ったの?」と聞かれ、「いや、ここにはビール飲みに来ただけですから」と答えたら、「贅沢だねぇぇ〜!!」と、うれしいお言葉。 うんうん確かに、これより、生ビールを贅沢に飲む旅は思いつかない。

一晩頑張ってくれた竹ペグ 涸沢の おうちへ帰ります
一晩頑張ってくれた竹ペグ 涸沢の私 おうちへ帰ります

帰りは沢沿いの冬道にロープが張られて通れなくなっていた。山側の夏道?(なにせ歩いたことないし)を通って広い河原に下りて進む。

徳沢を過ぎると観光客が増えてきた。涸沢の光景を見てしまったら、梓川からの明神も見劣りするが、観光なら十分な風景だろう。飛ばしに飛ばして上高地10:40発のバスに乗れた。

急に思い立ち出かけた山だが、雪が多かったおかげでGWとは思えない雪の山旅ができた。混み合うだろうが秋にも訪れてみたい。テント泊で2泊してみようかな。もちろんビールで乾杯だ。

山の仲間が撮ったGWの涸沢の風景を紹介します。

4/30:横尾尾根から。Auroraさんご提供。
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5/4:蝶ヶ岳から。熊さんご提供。
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