北アルプス横断縦走 2009 夏 5日目  09.08.12
ヒュッテ西岳       05:15
大天井ヒュッテ      07:00
燕山荘          09:55/10:20
中房温泉         11:55


最終日。

今日も腹の調子がいまいちなので、朝食前にお茶を飲んで腹具合を整える。 5日間で最も短い行程なので、朝もゆっくりしたものだ。 高台に立って、暗闇に残雪と星とをまとう槍や、地平線が白みだした常念らを眺め、夜から朝への移ろいを過ごす。

星をまとう槍ヶ岳 星をまとう槍ヶ岳

槍見には一番の立地だと思う。

常念岳とオリオン座 常念岳とオリオン座

常念小屋にも明りがついた。

出発は、槍が朝日に照らされてからにするかと、ヘッドランプを装着して槍へ出発していく天泊者を見送りながら、槍が染まる瞬間を待つ。

槍ヶ岳の夜明け。
槍ヶ岳の夜明け。槍から伸びる荒々しい北鎌尾根と独標。

槍ヶ岳拡大
槍ヶ岳拡大。穂先でご来光を見ている人達も→穂先拡大

槍が赤く染まったのは5時を過ぎてから。天場はあらかた撤収されて、がらんとしている。 何枚か写真を撮った後、私も用意していたザックを背負って天場を発った。 でも、歩き出す道は皆と反対方向。逆に歩く人がいないのも気に入った。

穂高 朝日に染まる小屋を出発
穂高 朝日に染まる小屋を出発

陽射しが強いひなたの道は、気温がみるみる上がり、草花のむっとする匂いが漂っていた。 朝日に透ける花を見ていたら、この山旅ではあまり花を撮っていないことに気付き、辺りに咲く花にレンズを向ける。

ハクサンフウロ トリカブト こいつの同定は諦め気味
ハクサンフウロ トリカブト こいつの同定は諦め気味

大天井岳へ 大天井岳へ

牛首展望台との鞍部に大天井ヒュッテがある。

尾根通しの道なので清々しい朝の歩きだった。

オタカラコウの花畑 道は稜線から外れて樹林帯へ 大天井ヒュッテ
オタカラコウの花畑 道は稜線から外れて樹林帯へ 大天井ヒュッテ

大天井ヒュッテで早くもジュースタイム。牛首展望台へ寄るはずが、 今朝たっぷりと槍の展望を堪能したのでお腹いっぱい。 ジュースを飲み干したら、休むことなく大天井西側のトラバース道へ進んだ。

この道は巨大な大天井岳の山体に隠れて全く陽射しが無い。 行動中でも寒いぐらいの道で、岩をつかむと氷のように冷たかった。

中東沢へ落ちる尾根の角を曲がると陽射しの下に戻った。 北アルプス中心部の山深い峰々が美しく、もちろん、槍も牛首山の上に見えている。

北アルプス中心部 切通岩の方へ
北アルプス中心部 切通岩の方へ

道標にて

常念からの分岐で数年前と同じ道標をしみじみと見つめた。

ここで、新穂高、上高地、室堂、中房温泉、扇沢の線が繋がった。 北アの一般的な縦走路は7,8割歩いていることになり、これで北アの山巡りに一区切りがついた。 過去の山行のことを想うと感慨深い。
道標にて

あとは、爺から白馬までの途切れ途切れの区間を歩けば、親不知の日本海までもが繋がる。 その区間は、過去天候が荒れて何度も敗退している。思い通りにならないことも、山の楽しさの一つかな。

表銀座縦走コースへ 表銀座縦走コースへ

人気のコースに入ったので登山者も増え、昨日稜線に上がってきた登山者とっては、絶好の稜線歩き日和になった。

駒草

駒草が人気のコースでもあるが、砂礫に咲く高山植物の女王は元気がないものばかり。

今年は花が早かったし、もうお盆だものなあ。
砂礫の駒草

とても清々しい道程だ。 「表銀座コース」そう言われても納得できる北アの峰々が、日を受けて西側にずらりと並ぶ展望の道だし、 どの頂を見てもその山名が判るのは、ここ数年で歩いた峰々ばかりだからだ。本当に気持ちいい。

大下りの頭 大下りの頭

ここで大休止。ゆるりと展望を堪能する。一つ一つ目で追っていくと、高原の丘に囲まれるように、樅沢岳と双六岳の鞍部に双六小屋も見えている。
→拡大

進むにつれ、燕岳に剱が隠れ、続いて立山も欠けてきた。心配しながら燕山荘まで登ると、雄山だけが燕岳の脇にまだ見えていた。 よかった。見えているのが有り難かった。

蛙岩(げえろ岩) 燕山荘へ登る
蛙岩(げえろ岩) 燕山荘へ登る

燕山荘から山を見渡す。

燕岳 燕岳

燕岳を往復してから下山しても十分な時刻だが、蛇足にしか思えなく、そんな気は全く起きず。

燕山荘の広場にて 燕山荘の広場にて

幾人もの登山者が行き交い、憩い、展望を眺め、皆楽しげな雰囲気だ。

私も(燕岳の横に見える頂から、5日間もかけてここまで来たんだぜ。)と誰かに話したいような、 逆に話してしまったら勿体無いような、そんな気持ちだった。

雄山に乾杯!

時刻はまだ10時前。何も迷うことなくビール売り場へ。
そして生ビールを持ち上げ、初日に登拝した雄山の神様に乾杯!

忘れられないビールがまた増えた。
雄山に乾杯!

何気なくボロボロになった計画書を取り出し、中房温泉発のバス時刻を確認すると12:45がある。 その後に2本もバスがあるのに、何も最後までも急がなくてもよいのだが、残りのビールを一気に飲み干していた。

ずらりと並ぶ北アルプスの山々に見送られながら、大分軽くなったザックを背負って燕山荘を後にし、 文字通り最後までも駆け足になった5日間の山旅がこれで終わった。


北アルプス横断縦走