北アルプス横断縦走 2009 夏 2日目  09.08.09
五色ヶ原キャンプ場    04:00
越中沢岳         06:05
スゴ乗越小屋       08:35/55
薬師岳          12:50
薬師峠キャンプ場(天泊)  14:25

午前2時にアラームが鳴るが、天幕を打つ雨音でふて寝。30分後に寝ぼけまなこで朝食にする。 夕飯の残りの赤飯で作ったお茶漬けは、思いのほか相性が悪くて嫌々口の中に流し込んだ。やっぱり白米だよ。

テント内の片付けをしていると雨が止んできたので、荷物を外に出して真っ暗な天場で撤収を開始。 周りのテントはやっと明りが灯り始めたところだ。今日はスゴ乗越小屋までの短い行程がほとんどなのだろう。 というか、この天気で様子見かな?

荷物が出来て、靴紐を結んでいる間に雨足が強くなった。まあいいや。

ヘッドランプに浮かびあがる濡れた木道を慎重に歩き、暗闇に煌々と明るいヒュッテの前まで来ると、何人かの登山者が出発の仕度をしていた。 進むべき道の先には、鳶山の方へ登山者の光がちかちか動いていた。 たぶんこの時間に出ている組は、太郎平小屋までのCT12時間の行程だろう。

夜明け前の五色ヶ原 夜明け前の五色ヶ原

鳶山に着く頃には雨も止んだので、雨具の上着をザックの中に入れた。

見下ろす五色ヶ原は、まだ夜明けには早いが、明り無しでも十分行動ができる明るさになった。

鳶山で先行の団体を抜かして先へ急ぐ。なんと言っても今日はCT12時間の行程だ。 天泊では無理がある計画だが今回は軽量化もしている。この天気ならば計画通り進むことができる。 入山前の予報よりも悪くないし、高曇りなので展望もある。出た時の雨を思えば好天とも言えるだろう。

立山と剱岳 五色ヶ原ヒュッテも見える 鳶山から先へ
立山と剱岳 五色ヶ原ヒュッテも見える 鳶山から先へ

薬師岳の朝焼け 薬師岳の朝焼け

日の出方向、山稜と雲の隙間から一瞬だけ太陽が顔を出し、前方の薬師岳が染まった。

薬師が赤くなったのは僅かな時間で、また元の冴えない色合いに戻った。ここから単独の小屋泊の男性2人と抜きつ抜かれつ歩いて行く。 互いにのんびり歩いていないことからも、今日は太郎平まで行くことが判った。

越中沢岳直下、緩やかな斜面を登っているところで小雨が降ってきた。でも運動量が多い為か、濡れると乾くが同時なので、 帽子だけかぶりそのままピークへ。

越中沢岳へ 山頂付近がなだらかな山 越中沢岳から来た道を見る 傾斜した五色ヶ原が見える
越中沢岳へ 山頂付近がなだらかな山 越中沢岳から来た道を見る 傾斜した五色ヶ原が見える

来た道を眺めながら、抜かしてきた一団を探すと遥か後方に見えていた。早出をしても、ピークごとで休憩時間を長く取っていたら到着は遅くなるだろうに。 もしかして薬師小屋までなのかな?

先を見ると、鞍部から立ち上がる緑の尾根に、赤い屋根のスゴ乗越小屋が見えている。 順調に行程をこなしていることに気を良くして先へ行くが、越中沢岳からスゴノ頭までの道は、岩場の通過も多くクサリ場も有り、距離のわりには大変な道だった。

スゴの頭へ スゴの頭
スゴの頭へ 越中沢岳より スゴの頭

越中沢岳

荒々しい尾根を振り返る。

朝から幾つかのピークを越えて来たけれど、陽射しがあったらキツイ道だ。
越中沢岳

断続的に流れていた霧雨状のガスも、この頂に立つ頃には後立山連峰の方へ去っていった。 スゴノ頭から眺める薬師岳は、越中沢岳よりも立体的に見えて重量感を感じる。

薬師岳 スゴノ頭より 薬師岳 スゴノ頭より

前に赤牛岳から眺めた時とは印象が違っている。

山麓の緑が上部稜線まで迫り、どっしりとした姿と色合いが、南アルプスの一山の様に見えていた。

スゴ乗越まで急降下し緑の斜面を乗り越えると、土が露出したスゴ乗越小屋の天場にやっと出た。 天場は小さくて雨が降るとぬかるみそうな地面だ。スゴ乗越小屋の表のテーブルでザックを降ろして水補給とトイレ休憩。

キスゲ咲く道です 天場 がんばって15張り程度 スゴ乗越小屋
キスゲ咲く道です 天場 がんばって15張り程度 スゴ乗越小屋

二日目にしてお腹の調子が悪い。昔は早出をしても食欲・お通じ共に快調だったのだが、今は両方とも気持ちに付いて来ない時が多い。 無理か利かない体になってきた。情けない。

時計はまだ9時前だ。そう遅くない時間に薬師峠へ到着できることを確信して一息つく。 小屋前の蛇口から冷たくて美味い水が出ていた。登り分を補給し、ハムマヨのランチパックを食べて、いざ薬師岳へ。

今日の雷鳥は子連れ 今日の雷鳥は子連れ

雷鳥を見た途端雨が降ってきた。雨具を着けると小降りに変わる。悩ましい天気が続く。

間山へ 間山池から立山・剱岳方面
間山へ 間山池から立山・剱岳方面

間山池からの立山と剱は、山頂に雲が巻きついて、高山の雰囲気が出ている。

間山山頂

間山までは休息の効果か、足が進んで一気に登った。 地図には大展望と書かれいるピークなのに、周辺をガスが覆っていた。残念。
間山山頂

それにしても人影がない。朝方、抜きつ抜かれつ歩いていた単独のおじさん2人にも、かなり離されたようで姿が見えない。 静かな広い尾根を黙々と歩いていると、やがて左手の雲が切れ、陽射しを受けた稜線が姿を現した。

赤牛、黒岳、三俣蓮華
赤牛、黒岳、三俣蓮華。

おお、見たかった展望がここにあった。ガスが多いがこれもまた美しい絵だ。 左の赤牛のピークは少し隠れ、中央の黒岳(水晶岳)、右奥、ピークが固まる三俣蓮華周辺の山々、 思いがけない展望にしばらく見入る。なーんだ、二日目の天気も良い方に転んでくれた。 入山前の予報では明日から晴れるようだし、良い時に入山できた。

薬師見平遠望 だだっ広い尾根を行く
薬師見平遠望 ちょとマニアック?
直下まで崩壊が進んでいる。本当の秘境もいつかは無くなる運命なのかな。
だだっ広い尾根を行く

さすがに疲れが出てきて、立ち止まりながらの登りになる。ま、でも今日はこれを登りきったら、稜線歩きと長い下り道。 慌てることなくゆっくり歩き続けると、遠い方のピークに薬師岳南峰の祠が見えてきた。 ということはこっちが北峰か。けっこうあるなあ。

登山道 中央が北峰、左奥が南峰(最高峰) 稜線に上がると岩が折り重なる道
登山道 中央が北峰、左奥が南峰(最高峰) 稜線に上がると岩が折り重なる道

間山から北薬師までの区間はCTがかなりキツめ。精神的にも疲れて、大岩が重なる登山道をだらだら歩いていると、 前方から来る2人の登山者の雨具と背格好に見憶えが。

まゆちゃん・えんちゃん お友達の、まゆちゃん・えんちゃん夫妻でした^^

この連休は北アと聞いてはいたが、また変な所でバッタリしたもんだ。

不順な天候のことや、お互いの行程などを10分ほど話してから別れた。 剱の山頂でもバッタリしたことがあるし、不思議な縁(ただの山好き?)ですな。 ただ、あまりにバッタリし過ぎている為か、お互い驚きもせず、普通に会話を始めていたことが後になって可笑しくなった。

薬師岳北峰からは、ガスの中に南峰が見え隠れしている。 数年前にこの付近で滑落事故があったことを思い出し慎重に行く。

薬師岳南峰と金作谷カール 薬師岳南峰と金作谷カール

最後に見せてもらった姿。すぐに薬師岳山頂付近はガスの中へ。

南峰までは快適な稜線歩きをイメージしていたのに、けっこう険しい道で疲れが倍増した。 CT40分は厳しめな設定だと思う。

南峰のガレを這い上がって、山頂の標識が見えたのは12:50。 これで新穂高まで線が繋がった。第一の目標はクリア。それにしても、スゴの小屋を出る時は、 12時到着ぐらいの勢いで思っていたのに、疲れもあってかなりオーバーした。しつこいようだが、この区間だけ変にCTが厳しいと思うんだけれども。

薬師岳山頂

北ノ俣岳へ伸びる緩やかな稜線が懐かしい。
薬師岳山頂

山頂で行動食を食べていると、突然、近くにいた女性の登山者が「わっ、何!?すばしっこいネズミがいる!」と驚きの声。 そういえば、この山頂でオコジョと遊んだなんてレポをどこかで見たことがあったっけ、 変らずに、同じ場所に住み着いていることが嬉しかった。

薬師岳から北ノ俣岳への稜線 薬師岳から北ノ俣岳への稜線

山頂を後にし、開放的な砂礫の斜面を下り始めると、ザックカバーが剥ぎ取られそうな強風。 以前も快晴の日に強風の中を降りたので、風の通り道なのかもしれない。

顔にへばり付くフードを引っ張りながら歩き、薬師小屋を素通りしてだいぶ降りると、上から見えていた薬師平の木道に出た。 この時間でも、山頂往復の一団とすれ違うことが多く、さすが百名山だ。

黒部五郎岳方面 砂礫の斜面を見上げる 薬師小屋
黒部五郎岳方面 砂礫の斜面を見上げる 薬師小屋

薬師平からは、低木帯の沢の中の登山道を下って、やっとこさ大賑わいの薬師峠キャンプ場に到着。 高校・大学の山岳部や、最近のウェアを着た若い人達が多かった。 関東方面からだと奥地に感じるが、関西からは折立から入山すると最初の天場であるし、この山域では必ず幕営する場所にもなる。

ヨツバシオガマ やっと天場が見えたー 薬師峠キャンプ場
ヨツバシオガマ 四葉塩竈
ゴマノハグサ科
やっと天場が見えたー 薬師峠キャンプ場

天場は結構いい具合に混んでいて、幕営場所を求めてウロウロしたが、 明日の早出も考えて水はけが良さそうな登山道脇にした。 ソロ用のシングルウォールのテントだと、混んでいる天場でもスペースを見つけることはたやすい。

テント脇で干し物を並べてビールを飲んでいると、女性2人(若い)に話しかけられた。 薬師小屋へ向かう途中らしく、山は初心者だが最近天泊に興味が出てきたので、天場の気になったテントを物色中?とのこと。 そして私のテントが見た目に小さいので、一体どうなっているのか気になったらしい。 フライ有無の利点欠点など、ちょっと偉そうに説明。山に若い成分が増えて行くのは良いことですな。

夕暮れの天場 夕暮れの天場

天場全景(この絵はほんの一部)を撮ってみたら、なるほど、中央の私の青いテントが異様に小さく見える。 そういう目で見ていたら気になるか。


この天場には小さな管理棟があり、太郎平小屋の方が詰めている。 天場代はもちろんのこと、ビールやチューハイも流水で冷やされて売られている。 きれいなトイレと、水量豊富な水場もあり使いやすい天場だ。一応、煮沸要と書かれているが、冷たい水なので美味しかった。

夕飯は無印のバターチキンカレー

うん、やっぱりカレーだよ、カレー。
ビールとの相性もいいしね。
無印のバターチキンカレー

冷えたビールがすぐに買えることは大変良いことじゃ〜と、3本目はチューハイ♪と口ずさみながら、管理人さんへ明日の天気を聞いてみると、「雨」、とのこと。 あれ〜なんだか悪くなってるぞ、午後4時のラジオは外で呑んでる時間だしなあ。

酔いと疲れでいつの間にか寝てしまい、暗くなってから雨音で目が覚めた。 明日の朝までには止んでくれよと、パラパラと天幕を打つ雨音の中で眠った。


3日目ヘ 北アルプス横断縦走