北アルプス横断縦走 2009 夏 1日目  09.08.08
室堂           07:45
一ノ越          08:40
雄山(立山)        09:20/50
獅子ヶ岳         12:40
ザラ峠          13:25
五色ヶ原山荘       14:05
五色ヶ原キャンプ場(天泊)

登山靴まですっぽり入った90Lのザックを背負い、ズボンをまくったサンダル姿で新宿駅へ。 都庁方面へ真っ直ぐ歩き、途中のコンビニで最後のお買い物。京王プラザホテルを過ぎて左手のガード下が、大型バスの発車場だった。

いくつかのバス会社と行き先の受付が始まっており、連休前の金曜夜ということもあって、登山者ばかりの発車場の熱気はものすごく、ガード下は蒸し暑くてたまらない。 知り合いの1人でも居るかと探してみたが見当たらず、ガード下から外に出て早くもビールを飲みだした。

さわやか信州号 発車 さわやか信州号 発車

予約していた室堂行きの直通バスに無事に乗れてほっとひと息。 定刻通り22:30に出発したバスに揺られ、一路富山へ。

チューハイも空になったことだし、日頃の疲れを行きの睡眠で癒そうと思っていたが、狭い座席と格闘すること30分、なかなか寝付けない。 周りは首に巻くエアバック式の枕をしているなど、夜行バスの流儀を知る。 なるほど、乗ってみなきゃ分からないものだなと感心したが、この座席で長旅するには辛いなあ。

幸い、1人予約の者は横が空いていたので、丸まって隣の座席に横になり、うつらうつらと仮眠した。

バスは立山ICで高速を下りた。下道からは、雲間に北アルプスの山並みがうっすらと見えていたが、立山高原の登りになるとバスはやがてガスの中へ。 室堂のバスターミナルに着く頃には小雨に変わっていた。

まあ、予報通りといえばそうなのだが、気落ちしながら外に出るとかなり寒い。荷物をバスの下から引っ張りだして建物の中へ急ぐ。 新宿で買っていたおにぎりで腹ごしらえをし、完全な雨具装備で出発。目の前の玉殿湧水で水を補給して一ノ越方面へ歩き出した。

玉殿湧水 いい水が出ていました 平原には花がちらほら しばらく立派な道です
玉殿湧水 いい水が出ていました 平原には花がちらほら しばらく立派な道です

一ノ越までの間、短い区間に残る残雪は、柔らかい雪でグリップが効いた。 途中、小学生の一団の「こんにちわ」攻撃にやられながら、蒸し暑さを我慢して登り続けると一ノ越に到着。

一ノ越山荘 一ノ越山荘

山荘の前は大勢の人達。相変わらずのガスで真っ白だけど雨は止んでいたので、予定通り雨具のまま空身で雄山に向う。

空身なのでCTを短縮できるだろうと思っていたら、渋滞で岩場の急登で立ち止まること多々。 道も狭いので抜かそうにも抜かせず、意外と悪い岩場の道をゆっくり登るしかなかった。

雄山山頂

山頂には雄山神社の大きな社殿が建っていた。先にある雄山の尖った頂には小さな社があり、500円の登拝料で本当の山頂へ。
雄山山頂

お祓いの始まり お祓いの始まり

登拝料と引き換えの紙製のお札を受け取った人はお祓いを受けられる。今日は雨降りなので、社殿の中でお祓いをするという。

厳かな祝詞の後にお神酒を頂く。何かご利益がありそうだ。
ま、500円だものね、安全登山さえできれば言うこと無しです。

予定では最高峰の大汝山まで行こうと思っていたが、信仰上の立山の主峰は雄山らしい。 お祓いと鈴がついた札を頂いたら満足したし、最高峰は晴れの立山縦走に取っておくとするか。 先ほど抜かした小学生の一団に狭い登山道を占拠されないうちにと一ノ越に戻った。

ガスが切れて一ノ越が見えた。 一ノ越から御山谷を見る。
ガスが切れて一ノ越が見えた。3000mの山は高度感が違う。 一ノ越から御山谷を見る。カール地形のようだ。
黒部平へ続くトラバース道が気持ち良さそう。

一ノ越はかなりの賑わい。天候も回復傾向だし、山荘前の皆さんは、これから立山の縦走かな。

竜王岳方面へ登っていると、オコジョが目の前を横切った。 岩の隙間から顔を出しては引っ込むを繰り返し、せわしなくどこかへ消えていった。コジョ太くん、今度はゆっくり会いましょう。

目の前はガスが途切れて青空が広がり、最後のハイマツ帯を登りきるとピークに到着。 すると憩っている登山者たちが、私の背後を見て歓声を上げていた。

雄山 雄山

振り返れば、立山に巻く雲がいつの間にか流れ去り、雄山が美しい姿を見せていた。

おー、夏のアルプスらしい絵だなあ。一気にやる気になったぞ。

竜王岳の巻き道から進行方向を見れば、行く手はまだ雲が多かった。 でも、越えていくピークだけは雲の上に突き出して、楽しみなような不安なような、両方の気持ちが湧き上がる景色を見せていた。

竜王岳 雲に突き出すピークへと向かう
竜王岳 今回は右側へ巻きます 雲に突き出すピークへと向かう

竜王岳から鞍部へかなり標高を下げていく。 斜面の草原には、定番の夏らしい高山の花達が、目を楽しませてくれていた。 見頃は過ぎているがコバイケイソウの花畑もあり、のんびり眺めながら行く。

ハクサンフウロ ミヤマリンドウ クルマユリ 何トリカブトかな?
ハクサンフウロ 白山風露
フウロソウ科
ミヤマリンドウ 深山竜胆
リンドウ科
クルマユリ 車百合
ユリ科
何トリカブトかな?

登山道は所々残雪が覆っていたが、柔らかい雪でアイゼン無しでも問題なかった。早朝だと嫌らしいかも。 雲が多く遠望が利かない代わりに、一昨年歩いた裏銀座の稜線が間近に見えて、その極上な日々を懐かしみながら歩いた。

御山谷の残雪とコバイケイソウ 登山道に残る残雪
御山谷の残雪とコバイケイソウ 登山道に残る残雪

雄山がずいぶんと高くなった 獅子岳への木道
雄山がずいぶんと高くなった
今あの山頂に居られたら良かったのにな
獅子岳への木道

アップダウンを繰り返す道を歩いていると、段差部の衝撃が頭痛に響いてきた。 ここしばらく仕事の忙しさから頭痛持ちになってしまい、 山を歩いていても額の奥がうずいている。山に来れば治るかと思っていたのになあ。 気温も上がって陽射しに照らされながら、少しバテ気味に獅子岳へ。

獅子岳山頂 クロユリ 黒百合 ユリ科 前方に五色ヶ原が見えてきた
獅子岳山頂 クロユリ 黒百合 ユリ科 前方に五色ヶ原が見えてきた。天場らしき広場にはテントも見える。五色ヶ原拡大

思ったより目的地が近いことが分かり、足の進み具合も速くなった。 やがて周りをガスが覆い、やたら長い下り坂をジグザグに下り続けると、鞍部にザラ峠が見えてきた。

ザラ峠には何人かの登山者が休んでいた。休まずにそのまま登り返し、 ガスが消えかかったところでザラ峠を見下ろすと、目の前には巨大な獅子岳の姿。 うわ、ずいぶんと降りてきたんだな。先ほど五色ヶ原が見えた時にはもう着いた気分だったけれど、 この登降はちょっと騙された気分。てか、ちゃんと地図見なさいって。

降りきった鞍部がザラ峠 獅子岳の大きさに驚いた
降りきった鞍部がザラ峠 獅子岳の大きさに驚いた

余計に長く感じるガレの縁を、ニセピークに騙されながら進み続けると、突然、視界が開けて五色ヶ原の木道突端に出た。

五色ヶ原 五色ヶ原

ふう、やっと着いた。岩の上にザックを置いて、優しげな緑野を眺めながらしばし休息。 今日の行動はほぼ終わったようなものだ。

再びザックを背負って、チングルマ、ハクサンコザクラ、コイワカガミが咲く草原の中の木道をゆっくりと歩き出した。

私の古いエアリアには、五色ヶ原ヒュッテも載っているが、今はもう解体され、遠目からは基礎部分が残る空き地が見えていた。 このルートは意外と登山者が歩いていたが、大体は抜かしてきたのでザラ峠以降は人影も少なく、霧が流れる草原はとても静かだった。

木道を行く 五色ヶ原ヒュッテ跡 遠望の山は赤牛岳
木道を行く 五色ヶ原ヒュッテ跡 遠望の山は赤牛岳

コバイケイソウのお花畑 山荘が見えた。背後の山は鳶山。
コバイケイソウのお花畑 山荘が見えた。背後の山は鳶山。

五色ヶ原山荘

割り合いに大きな小屋で、風呂も入れるらしい。

天場がかなり離れているので、テントの受付を済ませた後は、まずは小屋の表のベンチでビールのロング缶。 あまり冷えていなかったけれど、何より何より。
五色ヶ原山荘

ベンチで憩う登山者と雑談した後、またビールを買って天場へ下る。 下りもきっちりと木道が敷かれ、天場までは10分ほどだった。

天場への木道 アオノツガザクラ 天場
天場への木道 アオノツガザクラ
青の栂桜 ツツジ科
天場

天場は面積は広いが全体的に岩がちでなので、見た目ほど張れない感じ。 こんな立地でも幕営者が多く、すでにテント村が出来あがっていた。 水は、沢水を集めたものが蛇口から出しっ放しになっており、トイレも年代物が建っていた。 天場の雰囲気は雲ノ平とよく似ている。

夕飯は賞味期限対応で、食べたくもないアルファ米の赤飯+ふりかけとスープ。何度も買うが、やっぱり白米以外は残ってしまう。

トイレ棟 水場 貧相な夕げ
トイレ棟 水場 貧相な夕げ

夕方になると天場の受付の為、小屋から従業員が降りて来て、ビール・菓子の販売も兼ねて各テントを廻っていた。 この時に先ほど買ったビールの空き缶も引き取ってもらった。

チングルマとテント チングルマとテント

天場にはチングルマがたくさん咲いていた。

夕方遅く、小雨と共に到着した学生達の安堵の声を、天幕越しに聞きていたら寝てしまった。

夜ふけに耳をつんざくような雷雨あり。(あぁ、俺は今、山の中に居るんだったな)と、自分の居場所に満足しながら、また眠りに入った。
2日目ヘ 北アルプス横断縦走