北アルプス中部縦走 2007 夏 5日目  07.08.14
烏帽子小屋       4:25
野口五郎岳       8:05
水晶小屋       11:30
岩苔乗越       12:45
高天原山荘(小屋泊) 14:55

昨夜は寝たのも思い出せないほど酔っていて、当然朝の寝起きも悪く寝坊した。 多少反省などしながら、天場で別れの挨拶をし、トイレから戻ってきた時には、近くに張っていたはずのびすこさんのテントはすでに無くなっていた。

5日目が始まる 5日目が始まる

この旅では初めて水平線から上がる日の出を見た。

三脚を据えて、しばらくこの場所に留まる。

背後の赤牛や薬師が染まる。今は肌寒いが、今日の行程は日陰の無い稜線歩きが続くので、この天気では過酷な一日になりそうだ。

烏帽子岳 もうあんなに小さい 三ッ岳 あれを越えれば野口五郎が姿を現す
烏帽子岳と南沢岳 もうあんなに遠い 三ッ岳 あれを越えれば野口五郎が姿を現す

三ッ岳の登りの斜面から振り返ってみると、夜明けの色合いが残る陽射しに、ここまでの道程が浮き出していた。 計画の時に指でなぞっていた地図の赤線は、当たり前だが、確かに道となって続いていた。

折り重なる道程
折り重なる道程

右に針ノ木と蓮華が霞んでいる。爺ヶ岳で寝転んでいたのが、昨日のことのような、昔のことのような、時間の感覚がおかしくなっている。 人は自分の足以外ではこの様に峰々を繋ぐことはできない。いつも思うことだが人間の足はすごいものだ。

三ッ岳 赤牛岳 三ッ岳より
三ッ岳 赤牛岳 三ッ岳より

三ッ岳からは赤牛岳が間近に見える。赤牛岳はこの辺りで一番奥まった山なので、再び訪れる機会が無いかもしれない。 明日は、あの山頂から黒部湖の始点まで、かけ降りることになる。

野口五郎岳 野口五郎岳
三ッ岳より

朝日に稜線の道が照らされている。巨体な野口五郎岳へ続く快適な道が始まる。

稜線歩きを楽しんでいると、岩が折り重なった場所で「キュッ!キュッ!」と、呼び止められる様に、懐かしい鳴き声が聞こえた。

オコジョ また会えたね

鳴き声は岩の穴から聞こえていたので、覗き込んで待っていると、かわいい奴が頭を出した。 じっとしていると、靴の近くまで近寄ってきては、また岩陰に身を隠すを繰り返し、その愛くるしい姿に、なかなかその場を離れられなかった。
オコジョ また会えたね

さてさて、時たま姿が見えていたびすこさんには、かなり離されてしまったようだ。 元々予定に無かった高天原方面の地図は持っていないので、野口五郎あたりからは一緒に歩かねば、あわてて出発。

歩き始めてしばらくすると喉が渇いてきたが、朝からお腹の調子が悪く、烏帽子小屋で買った雨水は飲みたくない。 追いついて一緒に小屋で休憩しようかと急ぐが、野口五郎小屋が左手に姿を現す頃には、びすこさんは山頂への道を進んでいるところだった。

野口五郎岳間近 野口五郎小屋 山頂方面から
野口五郎岳間近 野口五郎小屋 山頂方面から

山頂で待っていてくれることを願って、1人野口五郎小屋でコーラとトイレ休憩。

小屋の立地はもろに風の影響を受けやすい開放的な場所だ。天場が強風の為に幕営禁止になったという話もうなづける。 天場の場所は分からなかったが、空が広いこの場所で一度張ってみたかったな。

雷鳥< 久々の雷鳥

小屋から野口五郎岳へ最後の登りで、5羽の雛を引き連れた雷鳥に出会った。 去年は雷鳥に出会えない年だったので、久しぶりに感じたのも当然。

雛のちまちま歩く姿がかわいい。

山頂へ

山頂の標識が見えると、その標識の隣に座っている尋ね人も発見!
山頂へ

そして、山頂からは雄大な雄大な展望。何も言うこと無し。

野口五郎岳より
野口五郎岳より

空はどこまでも青く、周りを取り囲む峰々が輝く。ただただ凄いとしか言えない風景が広がっている。この展望に不意をつかれて、どうしていいか分からない感覚になった。 ここは北アルプスのど真ん中、幾つものピークが見えるが、山名同定なんてどうでもよくなる気分。

某誌の主人公のように、”みんな山に来ればいいのに。”と、素直に思える時間に包まれて、しばらく何も考えずに、ただ眺めていた。

たけ&びすこ たけ&びすこ

撮ってもらいました。嬉しさ爆発な絵になっているな。

十分に展望を堪能してから出発。一緒に歩き出したがそれは単独行な性分の2人のこと、すぐに何十メートルか離れてお互い気ままに歩く。

野口五郎岳から見ているぶんには、快適な稜線という感じだったが、真砂岳のトラバースを過ぎてその稜線に乗ると、これが岩場のアップダウンが続く険しい道だった。

左にはいつも槍ヶ岳 岩が折り重なった道を行く
左にはいつも槍ヶ岳 岩が折り重なった道を行く

岩場を登り 高台に出ると水晶小屋が近くなってきた
岩場を登り 高台に出ると水晶小屋が近くなっていた

水晶岳 水晶岳(黒岳)

真砂岳−水晶小屋間の
2833付近にて

夏のアルプスらしい美しい姿だ。

ヤセ尾根を通過し、お花畑の急登を登りきると、大勢の登山者で賑わう水晶小屋に到着。

小屋前で憩う登山者につられて、我々も飲み物を買って休憩することにした。ゆるやかで長大な稜線の野口五郎岳を眺めながらやっぱりビール(わたしだけね)。

水晶小屋直下の登り 水晶小屋到着 まだ、道は残るが、乾杯!
水晶小屋直下の登り 水晶小屋到着 まだ、道は残るが、乾杯!

休憩しながら、撮ったばかりのオコジョや昨日の熊の画像を見せて、ちょっと自慢する。 「オコジョやら熊やら人やら、会い過ぎやわっ!」とつっこまれる。でもその会い過ぎの中に、びすこさんも入っているんだけどもねと、こっそり笑った。

東沢谷 東沢谷

小屋前からは、野口五郎と赤牛の尾根に挟まれた東沢が、黒部湖まで続いているのが眺められる。

この景色も雄大な眺めだ。

水晶小屋

後日判ったのだが、小屋を出てから何気なく撮ったこの写真に、
sanaeさん夫妻が写っていた。 高尾や尾瀬などで何度もすれ違いの山行をしていたので、次こそは会えますね、なんて言っていたのに、数十mまで来てまだ会えないのが可笑しい。
水晶小屋

水晶岳 水晶岳
小屋を過ぎてから

水晶岳が青空に美しく映える。以前は悪天で何も見えない頂だったので、この爽快な色合いの水晶岳に、やや後ろ髪をひかれながら先へ進んだ。

雲ノ平 雲ノ平俯瞰

山をやっている者ならば一度は行ってみたい場所だろう。私も是非晴れの日に再訪したい。

この間は軽装の登山者とのすれ違いが多い。水晶岳は行程の問題で、百名山の中でも登るのが難しい(残りやすい)とされる山だ。 チャンスを逃すまいと、三俣山荘や双六あたりからのピストンが多いのだろう。

高天ヶ原と雲ノ平の分岐となる岩苔乗越分岐まで下りてきた。 岩苔乗越周辺は残雪が多く、ここで休憩している人が多かった。 しかし、高天ヶ原へ降りる人はほとんどなく、雲ノ平と上の稜線へ行き来する人ばかりだった。

ワリモ岳(割物岳)、鷲羽岳方面 岩苔乗越 左が祖父岳
ワリモ岳(割物岳)、鷲羽岳方面 岩苔乗越 左が祖父岳

クルマユリの見事なお花畑を通って岩苔小谷へ降りる。浮石が多く歩きにくいが、沢沿いにはお花畑もあって気持ちがいい。 そして道が平坦になると、いつの間にか雲ノ平や先ほど歩いていた稜線に頭上を囲まれ、まるでカールの底を歩くかのように景色が一気に変わる。

周辺には残雪多し 車百合のお花畑
周辺には残雪多し 車百合のお花畑

オタカラコウのお花畑 草原の道
オタカラコウのお花畑 草原の道

程なく道は樹林帯に入っていく。人に出会うことも少なく、いかにも熊が出そうなので鈴を装着。 樹林帯といっても、低木なので陽射しがきつい。標高もぐんと下げたので温度も上がり、2人してへろへろになりながら歩いた。

低木の樹林帯 行けども行けども・・ おぉ、木道になったぞー
低木の樹林帯 行けども行けども・・ おぉ、木道になったぞー

やがて木道が現れると高天原に着いた証拠。樹林帯を抜けると、森の中にぽっかりと広がりがあり、点在する池塘と風に揺れる草原が眩しい。

高天ヶ原 高天ヶ原

この絵には疲れを癒される。湿原は思っていたよりも広く、木で組んである展望台に上がって全体を眺めた。

高天原山荘 ランプの宿 高天原山荘 ランプの宿

小屋の表では思い思いに過ごす登山者。水晶池から先行していた私もザックを下ろして、空いているテーブルにつっぷした。
はぁ〜やっと着いた〜。

まもなくびすこさんも到着。小屋泊の手続きなどをして、寝床を確保したら、お待ちかねの温泉に出発。 高天ヶ原温泉は、山荘から15分ほど歩いた温泉沢にある。道は石がごろごろして悪く、距離もけっこうあるので、サンダルで行くならば、つま先を保護したものがいいだろう。

見晴らしのいい河原に出ると温泉沢。対岸にはすだれの囲いがある3つの露天(女性専用もあり)、こちら側には何も囲いが無いものが2つと、幾つも湯船があった。 その年により多少場所も変わるらしい。沢は水量が豊富なので橋を渡って対岸へ。湯は乳白色でいい香り。

高天ヶ原温泉に到着! 対岸へ渡ります 真ん中の風呂にしました しっかり撮ります もちセルフで
高天ヶ原温泉に到着! 対岸へ渡ります 真ん中の風呂にしました しっかり撮ります もちセルフで

お湯はもちろん良くて、5日間の疲れきった(汚れきった?)体がリセットされ、体に力がみなぎる感じ。ファンが多いのも納得だ。 頭を洗ってみるとお湯だけで髪がサラサラに。なんかすごいぞぉ。縦走途中で温泉なんて贅沢なことだ。

高天ヶ原の夕暮れ 小屋より

温泉から帰ってくると、山荘前から見える湿原は、傾いた日で赤味を増していた。 飲みながら夕食の順番を待つ。いい時間だなぁ。
高天ヶ原の夕暮れ 小屋より

夕飯 夕飯

山に入ってからずっとテント飯だったから、もう楽しみで楽しみで。おかわりもして大変美味しく頂きました。

あまり小屋泊はしないので比較はできないが、この山深いところでこのメニューなら上等でしょう。

満腹で食堂を出たら、後ろでびすこさんが声をかけられ、驚いた声をあげている。 私も混ざって話してみると、びすこさんのブログで度々お名前を拝見する、臆崖道さんだというではありませんか。 こんなところで、またしてもバッタリですか。狭いなぁ、山ネット世界。

と話していると、びすこさんに「ブログとかやられている有名な方ですか?」と話しかけてきた男性が。 よくよく話を聞いてみると、知ってる山ブログの名前がずらり。とっしーさんという方で、最近はTiCAさんの山行記録などに感化されて山に出かけているとのこと。 私たちの大声の会話の中に、山ブログの方々の名前が頻繁に出てきていたのが聞こえて「もしや」と思ったとのことだ。 よかった、悪口とか言ってなくて。

記念に

臆崖道さん夫妻とびすこさんと私で。

山荘の談話スペースで飲みながら楽しいひと時。写真は臆崖道さんのカメラで、とっしーさんに撮っていただきました。
記念に

消灯時間まであれこれと話題は尽きずに。

今日の小屋はたくさんの宿泊客、なんとか寝返りができるぐらいだ。寝る前に山荘の人に話しを聞いてみたところ、本日の宿泊客は63人だが、 昨日は150人だったとのことだ。「秘境中の秘境」などと言われる場所だが、その言葉はこの時期には当てはまらない。
6日目ヘ 北アルプス中部縦走