南アルプス足跡つなげの旅 4日目 06.08.15

聖平小屋       3:40 2280m
上河内岳       6:10 2804m  6:45発
茶臼岳        8:10 2604m
畑薙大吊橋     12:05 1000m(林道側 茶臼岳登山口)
畑薙第一ダムP   13:25
(東海フォレスト管理P)
最終日だ。夏場の4日間の入山なんてあっという間に終わる。が、それでも柔らかい布団で大の字になって寝たいとか、天ぷらソバが食べたいとか、考えるのは俗なことばかり。 「山が好きだ」なんて言っているが、縦走途中に頭に浮かぶのはそんなもんだ。

夜半から風で木々がざわめく音が強かった。2:30に起きてテントの外に顔を出すと、月明かりの雲ひとつ無い星空。でも上河内岳方面だけが雲がかっていた。 3:40に天場を出る。登山地図では登り一本調子に見えていたが、小刻みに登り下りを繰り返し、汗が滴り落ちる頃に森林限界に出ると、いつの間にか背後には聖岳・赤石岳・悪沢岳が並んで朝日に染まっていた。

聖岳 遠く恵那山へも朝の光が下りていく
聖岳 ※画像クリック 遠く恵那山へも朝の光が下りていく ※画像クリック

ハイマツやナナカマドの枝葉に濡らされながら登り続けると地図に南岳と表記されているピークに出る。すると突然大きな富士山が左手に突き出した。 笊ヶ岳の山稜がダムのように雲海をせき止め、その上に浮かぶ富士と眩しい朝日、熱かった体を透かして吹き抜けていく爽快な風、ただただ立ち尽くし、荒い息づかいが感嘆の吐息に変わっていく・・

ありがとう

雲海の富士なんて見飽きていたと思っていたのに、まだこんな気持ちになることがあったんだと涙が出そうになった。いつもなら何枚も写真を撮る光景なのに途中でカメラを構えるのを止めた。 どんなに良い写真を撮ってもこの瞬間を伝えることは絶対できない。中途半端な写真なんか意味が無いと思った。

上河内岳 マツムシソウのお花畑
上河内岳 南岳より マツムシソウのお花畑

二重山稜の上河内岳のピークには分岐から空身で登る。山頂に着いた時はガスの中だったが、しばらく粘っているとウソの様に雲が取れ、どこを向いても素晴らしい展望が広がった。 展望も、山頂の高度感あるキリッと引き締まった感じをとっても、この旅で一番の山だと思う。

上河内岳山頂 ブロッケン 後光が二重です 茶臼・光岳方面
上河内岳山頂 ブロッケン 後光が二重です 茶臼・光岳方面 ※画像クリック
右奥がイザルヶ岳・光岳

駿河湾の海岸線もくっきり見えた。南岳は絶えずガスに巻かれて、それを越えて眺められる、聖・赤石・悪沢の展望は、南アを代表するものだと思う。

左から聖岳、赤石岳、悪沢岳 富士山
左から聖岳、赤石岳、悪沢岳 ※画像クリック 富士山 ※画像クリック

展望に後ろ髪を引かれながら上河内岳から下る。茶臼岳までは散歩道のような快適な道が続き、途中の亀甲状土の草原から振り返って見る上河内岳はピラミダルな独立峰のような姿だ。

驚いたことに茶臼岳山頂からは兎岳の左に槍穂が遠望できた。この山旅では今日が一番空が澄んでいるようだ。この好天なら槍穂は登山者で溢れていることだろう。

上河内岳 亀甲状土から 茶臼岳 茶臼岳山頂にて
上河内岳 亀甲状土から 茶臼岳 茶臼岳山頂にて

上河内岳 上河内岳へ続く稜線 茶臼岳より ※画像クリック

茶臼岳と上河内岳は以前も歩いていたが、その時は真っ白で小雨に叩きつけられる寒い1日だった。晴れればこんな素晴らしい展望の道だったんだと驚きながら、今日という恵みの日を感謝した。

ここからは畑薙大吊橋まで一気に下る。

茶臼小屋 横窪沢小屋の天場 ウソッコ沢小屋内部
茶臼小屋 富士が見える天場で過ごす時間は一級品でしょう。水は細いが冷たくてうまかった! 横窪沢小屋の天場 木々に囲まれた涼しげな良い天場です ウソッコ沢小屋内部 外観はボロですが内部はきれい

ウソッコ沢からは5度も小さな吊り橋を渡る。中には朽ちて苔むし、いつ落ちてもおかしくないものもあった。 登山道も小さな尾根越えが続いて「下るだけ」と思っていた頭と体に堪えた。最後の「ヤレヤレ峠」という名前はここからきたのか?と思ったほど。

畑薙大吊橋に着く頃はかなりバテていたが、この最後の大吊橋の恐さにも参った。平均台みたいな1枚の板を慎重に渡るのも緊張したし、対岸から渡ってきた人とのすれ違いも大荷物では足の置き場に困り、 また中央部では風に揺られて橋が左右に大きく揺さぶられた。

畑薙大吊橋 畑薙第一ダムの登山指導所 東海フォレスト管理の畑薙第一ダムP
畑薙大吊橋 全長181.7m 板幅20cm
あ〜渡って来ないで〜
※画像クリック
畑薙第一ダムの登山指導所 東海フォレスト管理の畑薙第一ダムP ダムから25分車道を下ります

林道に出て、沼平、畑薙第一ダムと歩くと井川山岳会の登山指導所があり下山届の記入を求めらる。「ごくろうさま」と、暖かいお茶を出してくれた。冷たい飲み物より体中にすっと入っておいしい。

そのまま車道を歩いて、車を置いてある駐車場に着いたのは、大吊橋から1時間20分後。帰りは白樺荘に寄って無料の温泉に入り4日間の汗を流した。
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